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JR九州ホテルズ 中野幹子社長に聞く 訪日客へ九州のすばらしさをアピール

2016/08/21

JR九州グループ(計36社)に、歴代2人目となる女性社長が誕生した。

「ブラッサム新宿」などホテル10店を運営する「JR九州ホテルズ」社長の中野幹子氏(48)だ。

仕事に子育てに全力投球してきた中野氏は「笑顔でもてなし、設備の素材にもこだわる。皆さんに選んでいただけるホテル作りをしたい」と張り切っている。

ホテル業はJR九州グループの成長エンジン

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5月半ば、ホテルズの社長にとの話を聞きました。最初はあまりの重責に、おののきました。

でも、ホテルの仕事は顧客と密に関わる仕事です。何よりホテル業は、いまやJR九州グループの成長エンジンです。

「仕事の幅が広がる。さあ、やってやるぞ」と気持ちを切り替えました。

就任から1カ月。この間、 10カ所の全てのホテルを回りました。施設の傷み具合やアメニティーグッズを確認し、現場の社員から、困っていることを聞いて回りました。

「こうしたほうがよいと思います」という意見に「なるほどね」と相づちを打つ。そうして社員とコミュニケーションを深めることが、社長として大切だと思っています。

経営者の求めるものと、社員が求めるのが完全に一致することはありません。それでもコミュニケーションを取って、会社の目線に、社員の意見を加味することで、総合的な納得感が得られると思います。

 

子育てと仕事との両立 周囲の理解

JR九州には1年、1991年、就職しました。人々の生活に密着し、幸せを感じる機会を提供する会社だと思ったからです。

最初、本社の営業部販売課で列車の座席予約を担当しました。2年前の1989年に総合職として女性社員の採用が始まったばかりです。

「女性の目線で考えてよ」と声を掛けられることが多かった。その期待を「重たいな」と感じることもありましたね。

入社5年目のときに、米アトランタのエモリー大に留学し、マーケティング論を専攻しました。帰国後、10年に社内結婚し、翌年、長女が生まれました。

育児休暇を取り、半年もしたころでしょうか。「社会にまた出て、貢献したい」という思いが強くなったのです。職場復帰しました。

本社の旅行事業本部で、フルタイムで働きました。子供を保育園に迎えにいき、寝かしつけた後に、会社に戻って仕事をしたこともあります。

大変ではありましたが、上司や同僚に、子育てと仕事との両立について理解してもらえた。本当に感謝しています。

その後、駅長オススメの温泉を鉄道旅行とのセット商品にする仕事にも携わりました。九州各地の観光素材を、地元の人と発掘し、発信することは楽しかったですね。

直近の2年間は、社員向けの保険代理店業や中元・歳暮のカタログを作っていました。その時々、場所で仲間との一体感や達成感を味わえる。やめられませんね。

 

訪日客を誘客して、九州のすばらしさをアピールする

JR九州ホテルズは来年に那覇で、2019年度には東京・新橋で「ブラッサム」ブランドのホテルを開業します。

JR九州のホテルがこの先増えても、目標はただ1つです。お客さまのために「もっと会いたくなるホテル」を作ることです。

効率だけを追い求めるのではなく、設備や食材は九州らしいデザインや素材にこだわり、地域に合わせたものをあしらう。

2014年に「ブラッサム新宿」が開業しました。そこからJR九州のホテル事業は全国区になり、ホテルチェーンも機能し始めました。

「新宿がよかったから、九州でもJR九州さんのホテルを選びました」と、口コミが広がるようになったのです。

ホテルズの社員は、平均年齢が29歳と若く、女性スタッフが多い。全員が笑顔で、自分たちも楽しみながら、おもてなしをする。そんな会社です。

ホテルは「窓口」でもあります。インバウンド(訪日旅行)客を誘客し、九州のすばらしさをアピールする。そして、JR九州グループの「誠実さ」を感じ取っていただく。

これまでJR九州は駅という財産を有効活用し、にぎわいを創出してきました。その中で、ホテルは地域の魅力をお伝えし、案内できる人材を育てなければなりません。

JR九州は今後、株式上場を控えています。上場はゴールではありません。ホテルズとしても通過点に過ぎないのです。企業の価値、そして九州の価値を高められるような仕事をしていきます。

最後に、仕事と子育ての両立についてアドバイスするなら、1日1回、何にでも良いので「感謝する気持ち」を大切にすることですかね。ふっと気持ちが楽になりますよ。

後輩が頑張れるように、私たちが歴史を作らなければと思っています。

産経新聞九州総局 村上智博

なかの・みきこ
1967年、北九州市八幡西区出身。1991年、お茶の水女子大文教育学部を卒業し、JR九州に入社。
2005年の九州観光推進機構の発足にも関わる。2012年、鉄道事業本部営業部販売課長。
2014年、事業開発本部サービス事業部長を務め、2016年6月24日付でJR九州ホテルズ社長に就任した。

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