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現存最古級の百貨店建築がホテルに 大阪の高島屋東別館、大理石の壁に重厚アーチ

2017/11/29

 堺筋沿いに戦前建設され、最新のエスカレーターや冷房設備などをいち早く導入してきた高島屋東別館(大阪市浪速区)。元々は旧松坂屋大阪店で、高島屋が取得した昭和40年代からは店舗としては使用されずにいたが、現存では最古級の百貨店建築とされる同館が宿泊施設などを備えた複合施設に生まれ変わることになった。詳細は未定だが、同社はレトロな空間に改修を施して平成31年のリニューアルオープンを目指すという。(栗井裕美子)

レトロな百貨店

11連のアーチ状の装飾が連なる外観=大阪市浪速区

 西洋建築のモチーフとしてよく使用される植物のアカンサスの彫刻が施された外壁、山口産の大理石がふんだんに使われた壁面、案内版に豆電球が灯(とも)るエレベーター…。

 10月27日、高島屋東別館で開かれた見学ツアーには約20人が参加し、趣深い洋風建築に見入っていた。

 屋上の入り口近くに残された「屋上松坂遊園」の広告跡を説明していた京都華頂大の川島智生教授は「もうここにしか残されていないものがいっぱいある」と惜しんでいた。

旧松坂屋としてオープン

 高島屋東別館は旧松坂屋大阪店として建てられた。大正12年3月のオープン時は木造3階建てだったが、昭和2年に改築が始まり、12年に現在の姿になった。

 設計は、東京駅舎などを手掛けた建築家、辰野金吾の教え子で、夏目漱石の義弟にあたる鈴木禎次(明治3~昭和16年)が手掛けた。鈴木は名古屋高等工業学校(現在の名古屋工業大学)で教鞭(きょうべん)を取り、重要文化財の旧中埜家住宅(愛知県半田市)など、名古屋方面の案件を多く手掛け、「名古屋を造った建築家」と呼ばれている。

 規模は鉄骨鉄筋コンクリート造で地下3階~地上9階、約4万平方メートルで、当時は日本最大とされた三越日本橋本店(東京)に並ぶほどだったという。

 当時、堺筋は関西屈指のショッピングストリートだったといい、11連のアーチ状の装飾が施された外壁や、堺筋線新駅(開業せず)と店舗を結ぶはずだった地下2階の出入り口跡が往事を物語る。

 屋上松坂遊園跡には空間が広がり、一段低くなった一角があった。かつては、夏はプール、冬はアイススケート場として使われていたという。参加者は「子供のはしゃぐ声が聞こえてきそうだ」と話していた。

約90年の歴史

大理石がふんだんに使われたエレベーターホール=大阪市浪速区の高島屋東別館

 その後、松坂屋は昭和41年に天満橋に移転した。43年に高島屋がこの建物を取得し、高島屋東別館としたが、店舗としては使わず事務所として使用した。史料館として公開されていた一部を除いて一般にはほとんど公開されず、人知れず時間を刻んできた。

 この東別館は、建築当時の姿を残す百貨店建築として最古級という。阪急百貨店梅田本店、大丸心斎橋店など、大阪の百貨店は近年、次々と建て替えられたためだ。川島教授は「百貨店がもっとも華やかだった時代の記憶を残す貴重な建造物だ」と話す。

 改修計画の詳細はまだ未定だが、高島屋はキッチンなどを備え、長期滞在もできるホテルを誘致し、創業以来の収蔵品を収めた史料館をリニューアルさせる方針。同社は「地域とともに約90年の時を刻んできた建築物を保存活用していきたい」としている。

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