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東京パラリンピック開幕まで29日で1000日 車いす客室確保へ模索続く組織委 一般向け活用も「ユニットバスの壁」…残る“負の遺産” 

2017/11/29

 2020年東京パラリンピック開幕まで29日で1000日。大会の準備が進む中、ホテルなどの車いす利用者向け客室の需給が見通せず、大会組織委員会などが暗中模索を続けている。グループ客に分宿を余儀なくさせるなど、部屋が不足したり、利用者に不便を強いたりする可能性があるためで、国土交通省はバリアフリー化に向けて一般客室を活用する指針を策定した。だが、前回の東京五輪で普及したユニットバスが車いす利用者にとっては“負の遺産”になっており、事業者側の改修も困難にしている。(川畑仁志)

車いすでも利用しやすいバリアフリーのユニバーサルルーム。部屋の中央に洗面台があり、照明などのスイッチも通常より低い位置にある=28日、東京都港区のザ・プリンス パークタワー東京(飯田英男撮影)

 宿泊施設のバリアフリー客室数はこれまで把握されておらず、国交省が業界団体を通じて首都圏を含む国内の実態調査を開始。一方で、車いす利用者の宿泊需要は「読めない」(組織委)のが現状だ。12年ロンドン大会では車いす利用者のチケット枚数が「1日当たり3千枚程度」との試算もできるが、組織委はこのうちどの程度が宿泊したかは不明だとしている。

 組織委の中南久志・パラリンピック統括室長が懸念するのは、車いす利用者がグループで観戦する場合だ。「出場者のチームメートらは当然、応援に訪れる。その際に複数のホテルに分宿してもらうのは無理がある」と中南氏。バリアフリー客室が1、2室しかないホテルが多く、10室もあるのはシティーホテルでもまれだという。

 バリアフリー客室の少なさは、平成18年施行のバリアフリー法の国基準で「50室以上の施設で1室以上」と定めているためで、国際パラリンピック委員会のゴンザレスCEO(最高経営責任者)も組織委との事務折衝で「客室が不足している」と表明、基準の見直しを求めた。

 車いすが転回しにくい狭小な客室では2室を1室に造り替える必要がある。さらにネックになっているのは、ホテルで使用されているユニットバスだ。入り口幅が60センチ程度で段差があり、車いすで入れない場合も多い。改修には多額の費用が必要で、経営効率が悪化する恐れもあり、積極的な改修は期待しづらい。

 ユニットバスは1964年の前回東京五輪で大規模ホテルの建設を間に合わせるため開発され、急速に普及。中南氏は「当時は画期的だったが、今は負の遺産になってしまっている。ホテルの歴史と戦っている気がする」と頭を悩ませる。

 国交省は3月、25平方メートル程度の一般客室でバリアフリーに配慮した客室を造るための指針を策定した。都内で複数のシティーホテルを運営する事業者の広報担当者は「現状では車いす利用者にバリアフリー客室を案内している。ただ、多人数の受け入れを想定し、改修時に国の指針を参考にすることも検討する必要がある」との認識を示す。

 中南氏は「宿泊施設が確保できなければ、観戦をあきらめることにつながりかねない」と危惧、「補助的な手すりといった機器を貸し出すなどして、広めの一般客室を有効活用するというおもてなしの理念を広げていきたい」と話した。

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