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レジ無し店舗、アマゾンめど 不正許さぬ食料品店 「ピカチュウ」も識別

2017/11/24

 米インターネット通販最大手アマゾン・コムが昨年12月に発表した、レジを設置しない食料品店「アマゾン・ゴー」の開店準備が整ったようだ。レジ無し店舗には欠かせない、買い物客を特定するシステムの精度は極めて高く、人気アニメ「ポケットモンスター」のキャラクター、「ピカチュウ」の着ぐるみの人物も識別するほどだという。

 自動運転技術を活用

 アマゾンの従業員はこの1年間、新たなシステムを採用した食料品店アマゾン・ゴーの試験をワシントン州シアトルで続けてきた。レジ待ちの行列や買い物時間の削減によって実店舗のショッピング体験の変革を目指すアマゾン・ゴーは、同社にとって最も野心的な試みとなる。

レジ無し店舗のシステムを試験している「アマゾン・ゴー」の実験店舗=米ワシントン州(ブルームバーグ)

 アマゾン・ゴーでは買い物客が商品を選んで、レジを経由せずに支払いを済ませ、店外に出ることができる。アマゾンは仕組みについて詳しくは明らかにしていないが、携帯電話にダウンロードしたアプリが使われ、誰が何を買っているのかの判別には自動運転車に利用されるセンサー技術も活用されている。

 アマゾンの従業員3人はこの技術に盲点があるのではないかと疑い、ある日、黄色いピカチュウの着ぐるみで買い物をしたところ、システムのアルゴリズムはこの変装を見事に見破った。従業員を正確に特定し、それぞれが持つアマゾンの口座に代金を請求したという。

 アマゾン・ゴーは今年の早い時期に一般向けにオープンするはずだったが、米紙ウォールストリート・ジャーナルは3月、技術的な問題が生じたことから開店を延期したと報じていた。

 関係者によると、課題は残っているものの、レジを通さずに「そのまま店を出る」ための技術は大幅に改善した。アマゾン・ゴーの採用で募集職種は当初システムを完璧にするのに必要なエンジニアや調査員だったが、今では店舗の建設や消費者へのプロモーションに必要な人材に変化。正式オープンの準備が整ったことがうかがえる。

 レジ無し店舗には、消費者のアマゾンでの利用頻度を向上させる狙いが込められている。アマゾンは今月15日、高級食料品販売チェーン、ホールフーズ・マーケットでの食料品とホリデーシーズン向けの品目で新たな値下げを発表した。感謝祭の祝日に向け、抗生物質不使用の七面鳥でも値下げ攻勢をかけている。

 ホールフーズはまた、アマゾンの有料会員サービス「プライム」のプラットフォーム採用とともに今後一段と積極的な値下げを実施することも示唆した。この発表を受け、同日の株式市場でスーパー大手のクローガーとスプラウツ・ファーマーズ・マーケット株は下落した。

   グループ対応に課題

 関係者によれば、アマゾンはシアトルのビルでさらなる試験を重ねている。試験ではアマゾン・ゴーの支払い機能は個々の買い物客にはうまく機能したものの、子連れの家族などのグループに対する支払い請求については依然問題を抱えている。同社のエンジニアは2人のグループが入店した際にどちらに請求するかという課題についても取り組んでおり、従業員にも昼食を購入する際には2人一組で来店するよう指示している。

 アマゾン・ゴーの店舗がどれほどのペースで拡大するかは不透明だ。2年前にシアトルで第1号店を開店させた書店の実店舗数は現在、7つの州で13店舗にとどまっている。アナリストの間には、アマゾン・ゴーの技術はいずれはホールフーズに導入されるとの見方もある。ホールフーズの店舗はアマゾン・ゴーの店舗よりはるかに広いことから、実現には曲折が予想される。アマゾンは「そのような計画はない」と否定しているが、計画を実行する場合にはピカチュウの着ぐるみが大量に必要となりそうだ。(ブルームバーグ Olivia Zaleski、Spencer Soper)

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