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ホテル活況で恩恵受ける繊維・アパレル業界 寝具やインテリアに需要

2017/11/14

 繊維・アパレル業界にホテル活況による恩恵の波が広がっている。宿泊施設はインテリアや寝具など繊維製品が広く使われる分野だが、ホテルの建設ラッシュや高稼働で需要が急増しているのだ。傘下ホテルへの投資や、宿泊事業に乗り出す企業も相次いでいる。(田村慶子)

 重宝される高機能素材

「変なホテル舞浜 東京ベイ」では東洋紡のブレスエアーがベッドのマットレスに採用されている=千葉県浦安市(エイチ・アイ・エス提供)

 東洋紡が平成8年に製造を始めたクッション材「ブレスエアー」は、車や新幹線の座席シートから、近年はホテルのベッド用マットレスに用途が広がっている。耐久性や軽さ、簡単に洗えるといった特長から、国内供給量は過去10年間で10倍、25年以降も毎年1割ずつ伸長。競争力を上げるため寝具に力を入れるホテルは多く、同社を始め、高機能素材に強い日本の繊維メーカーには追い風だ。担当者は「ホテルや鉄道向けは大きな成長分野」と期待する。

 “走るホテル”として話題となっているJR東日本の豪華寝台列車「トランスイート四季島」や旅行大手エイチ・アイ・エスが出店を進める「変なホテル」の客室ベッドにもブレスエアーが採用された。いずれも供給先の注文に応じた完全なオリジナル品で、使用環境や好みに合わせて素材の太さや密度を細かく調整する。「原料を知り尽くす素材メーカーだからこそできる強み」と胸を張る。

 繊維メーカーが積極投資

 繊維メーカーのなかには、国内外の賓客を迎えるため昭和30、40年代から高級ホテルを手がける企業も多い。昨今のインバウンド(訪日外国人)需要で、こうしたホテル事業への積極投資が改めて広がっている。

 クラボウは傘下ホテル「倉敷アイビースクエア」(岡山県倉敷市)の大規模改修などに約24億円を投じ、平成30年10月には同市で最大規模となる延べ床面積約2460平方メートルの宴会場を新設。宿泊と合わせ、学会や展示会の需要も出るとみている。

 クラレも24年から3年かけ、傘下の「倉敷国際ホテル」(同)に3億円を投じて改装した。ここ数年は売上高、客室稼働率ともに伸びているが、周辺には新規出店も増えており「客室、宴会場のグレードアップで競争力を高めた」とする。

 「無印良品」も参入

 アパレル業界でも宿泊事業に乗り出す動きがある。衣料・生活雑貨店「無印良品」を展開する良品計画(東京)は31年春、東京・銀座に「MUJI HOTEL」を開業する。来年1月に中国・深セン市、同3月には北京市でもオープン。客室に無印良品の家具やアメニティを積極的に使い、小売りや外食事業への波及効果も狙う。

 肌着大手のワコールは京町家を再生した宿泊事業に乗り出す。1棟貸しの簡易宿所として34年中に京都市で50店舗前後を出店、同年に10億円の売り上げを目指す。

 宿の名称は「京の温所(おんどころ)」。1号店は来年4月、動物園や美術館といった観光施設も多い京都市左京区の岡崎地区に、2店舗目も同市内に来春開業する。外観の風情は残しつつ、現代アートを取り入れた和風の内装に改修。国内外の長期滞在客を見込んで「暮らすように過ごせる安らぎの空間にする」(広報)といい、ファッションデザイナーの皆川明氏と、建築家の中村好文氏がデザインするという。

 当面、本業への相乗効果は追求しないが、昨年10月にJR京都駅近くにオープンした施設「ワコールスタディホール京都」と連携し、宿泊客向けに町歩きを通じた京文化の体験プログラムなどを提供する方針だ。肌着を始めとするワコールの既存事業への効果については「将来的に良い接点が持てたら」と期待をのぞかせている。

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