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てるみくらぶ、制度の“穴”悪用「早めに入金すれば割引」 観光庁が規制強化へ

2017/11/09

 経営破綻した旅行会社「てるみくらぶ」に絡む問題は7日、刑事事件に発展する見通しとなった。同社をめぐっては、財務書類の偽造や破綻直前まで旅行客を募集して代金を徴収するなど、制度の“穴”を突いた悪質性が破産申請当時から指摘されていた。観光庁は同社破綻後の混乱を教訓に、決算書の毎年ごとの提出や過剰な広告の自粛要請など、旅行業界への規制強化を進める方針だ。

警視庁渋谷署に入る「てるみくらぶ」社長の山田千賀子容疑者=8日午前10時19分

 関係者によると、同社は旅行の申し込み客に対し、代金を数日以内に入金するよう催促したり、「早めに全額を入金すれば割引が受けられる」とする広告を積極的に出したりしていた。

 同社の破産手続き開始申立書によると、同社は平成26年9月期の決算で、実際は大幅な赤字だったにもかかわらず、経費などを過少に計上して黒字に見せかけていた。さらに決算書は、金融機関への説明用と税務署への提出用など複数作成し、破綻まで粉飾決算を続けた疑いがある。

 同社のような国内外の旅行を取り扱う「第1種旅行業者」は、旅行業法に基づき、登録更新(5年間)ごとに決算書と納税証明書を観光庁に提出することが義務付けられている。しかし、観光庁は同社の経営実態を把握しているとはいえない状態だった。

 観光庁は今回の問題を踏まえ、旅行会社の顧客保護や経営管理強化策を検討する作業部会を立ち上げ、8月に対策を取りまとめた。1種旅行業者には決算書などを毎年提出させ、経営状態の把握を容易にするほか前払いを過剰に求める広告を掲載しないことや、前払い金の使途などを広告やパンフレットに明記するよう各社に求める。観光庁の担当者は「同様の混乱が二度と起きないよう、消費者保護の仕組みを作りたい」と話している。

「てるみくらぶ」社長らを逮捕 2億円詐取の疑い 警視庁

 今年3月に経営破綻した旅行会社「てるみくらぶ」(東京)をめぐり、虚偽の決算書類を作成し、銀行から融資名目で現金約2億円をだまし取ったとして、警視庁捜査2課は8日、詐欺などの疑いで、同社社長の山田千賀子容疑者(67)=東京都町田市=と、元経理責任者の笹井利幸容疑者(36)=埼玉県春日部市=を逮捕した。

 逮捕容疑は、2人で共謀し、経営状態が良好であるように見せかけた決算書類を数回にわたり三井住友銀行に提出。融資名目で約2億円をだまし取ったとしている。山田容疑者は6日に都内で開かれた債権者集会で粉飾決算を認めていた。

 破産開始申立書などによると、同社は平成26年9月期以降、慢性的な赤字が続いていたが、利益を水増ししたり支出を過小計上したりするなどの手口で、黒字に見せかける粉飾決算を繰り返していた。28年9月期では、決算書類上は1億2000万円の営業利益を計上したが、実際には50億円の営業損失を計上していた。

 捜査2課は、同社は詐取した融資金を運転資金に充てていたとみて、詳しい資金の流れを調べている。

 同社は、破綻直前まで「現金一括入金キャンペーン」とする広告を出したり、契約者に早期に旅行代金を支払うよう求めたりしており、資金繰りが悪化した“自転車操業”の状態だったとみられる。破綻により、同社は契約者ら約3万6000人に約100億円の負債を抱え、計8~9万人に影響が出たとされる。

 同社は10年設立。大型旅客機の空席を安く仕入れてインターネットで販売する手法で急成長したが、近年は航空会社が需要に応じて旅客機を小型化したり、旅行客が代理店を通さずに航空便やホテルを予約する傾向が強まったりしたことで業績が低迷していた。

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