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印市場、言語対応がカギ 音声認識、アマゾン出荷で競争激化

2017/11/02

 米インターネット通販大手アマゾン・コムは10月31日、インド向けに現地なまりの英語「ヒングリッシュ」に対応した音声認識スピーカー「エコー」の出荷を開始した。ライバルのアップルやグーグルもインド仕様の音声認識機能開発に注力している。独特の言語や文化にどこまできめ細かく対応できるかが音声認識製品の競争を左右するとみられており、13億人の巨大市場争奪戦はその試金石になりそうだ。

 現地に合わせた開発

 アマゾンは約1年前、英国やドイツなど海外市場でエコーを発売。その後、言語学者やスピーチサイエンティスト、開発者やエンジニアから成るチームが、エコーに搭載される音声認識機能「アレクサ」をインド向けに仕立て直した。インド版アレクサはヒンディー語と英語を交ぜて使い、はっきりとインドなまりで話す。インドの国民的スポーツ、クリケットに関するジョークも用意されている。アマゾン・デバイスの製品管理責任者、パラグ・グプタ氏(インド在勤)は「アレクサは米国人ではなく、インド人の人格を持っている」と語った。

インド中南部ハイデラバードにあるアマゾンの配送拠点。インドの言語に対応した「エコー」の出荷が始まり、インド市場の争奪戦が本格化する(ブルームバーグ)

 インド人の多くは米国英語や英国英語も理解するが、自分と同じイントネーションの音声アシスタントに居心地の良さを感じる傾向があるとされる。

 スマートフォンなどの値下げ競争の影響で地方でもハイテク化が進むインドでは、ヒングリッシュの重要性が一段と増している。バンガロール在住の事業家、ラビ・グルラジ氏は「グローバル企業は欧州全体に匹敵する人口を有するインド市場を米国英語では切り崩せないと理解している。ヒングリッシュへの対応が必要だ」と指摘する。

 現地の嗜好(しこう)に合わせた開発により製品の普及を目指すのはアマゾンだけではない。アップルやグーグルも、音声機能にインドの多様な言語やサブカルチャーを教え込んでいる。

 グーグルの親会社、アルファベットは会話型人工知能(AI)「グーグルアシスタント」にヒンディー語をすでに追加している。またアップルは昨年、音声認識機能「シリ」を進化させるため、ヒンディー語やインド英語のネーティブスピーカーを募集する求人広告を開始。今年発売の「iPhone(アイフォーン)8」と「X(テン)」に搭載される最新の基本ソフト(OS)では、シリのユーザーはキーボードをヒングリッシュに設定できる。

 アップルのクック最高経営責任者(CEO)はインド紙に対し、「インド消費者のシリの体験を向上させるため、あらゆる方法を考えている」と語った。

 惜しみない投資

 アマゾンは音声認識技術に惜しみなく投資している。電子商取引(EC)市場をめぐる覇権争いで地場のフリップカート・オンライン・サービシズに対抗するため、アマゾンのベゾスCEOは50億ドル(約5690億円)の投資を約束した。資金の一部は言葉の壁を取り除くための作業に充てられる。

 グプタ氏は「インドなまりに対応するための開発は極めて困難だった」と振り返った上で「当社の製品によって地元の顧客が戸惑うような状況をわれわれは望まない。時間をかけて改良を加えていきたい」と話した。

 アマゾンはまた、インド市場向けにエコーの販売価格を3割値下げした。

 同社は外部の開発業者と共同でアレクサの開発を進め、配車サービス「オラ」の利用やインド風ピラフ「ビリヤニ」の最良なレシピの検索など、1万余りの機能も追加した。これに対し、アマゾンが3年前に米国で販売したエコーの拡張機能「スキル」はわずか13だった。

 グルラジ氏は「音声アシスタントが現地なまりの自然な言葉を話すなら利用者はそちらに流れ、企業は競争上の優位に立てる」との見通しを示した。(ブルームバーグ Saritha Rai)

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