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観光財源に「出国税」、観光庁の有識者会議が中間案 運賃などに上乗せ

2017/11/01
量販店で自撮り棒の使い勝手を試す外国人観光客=大阪市中央区(織田淳嗣撮影)

 観光施策を充実させるための新たな財源について議論する観光庁の有識者会議は31日、観光庁が日本の空港や港からの出国時の運賃などに、“出国税”を上乗せするなどの中間とりまとめ案を示し、大筋で了承された。会議は今回が最終回で、11月中に正式にとりまとめる。与党税制調査会の議論も踏まえた上で、税制改正大綱への盛り込みを目指す。

 とりまとめ案は平成32年までに訪日外国人客数を4千万人とする政府目標を踏まえ、地域における観光資源の磨き上げや訪日旅行の魅力発信などに「新たな財源確保が必要」と強調。観光財源の代表類型のうち、受益と負担のバランスなどを考慮すれば「出入国に負担を求めることが妥当」とした。徴収方式は「租税方式が適切」とした。

 財源規模については政府の観光ビジョンに示された施策を踏まえ、「年間数百億円程度と想定される」とした。事業者からは「近隣アジア諸国との競争環境を考慮すべきだ」との意見も出されており、韓国で導入済みの出国納付金が1万ウォン(約1千円)であることなども考慮して、最終的なとりまとめでは1人当たり1千円程度になるとみられる。

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 日本を出国する旅行客全員から徴収する出国税は日本人も対象だ。税収が特定の地方の観光振興に使われれば、その他の地域の住民は納税の利益を得られず、受益と負担のあり方に疑問が残る。また新たな税負担は誘客に逆効果との反発も強い。しかし訪日客拡大に向けた施策のための財源確保を急ぐ官邸の強い意向が反映されたようだ。

 出国税をめぐるこれまでの議論では日本人が出国するたびに1千円を払う見返りは明確になっていない。観光業界からは「空港の利便性が上がる程度」と、受益の小ささを問題視する声もある。また観光財源としての新税導入には、観光業界から「消費税増税も控え、さらなる負担は訪日観光に冷や水を浴びせかねない」との懸念も根強い。

 一方、官邸は東京五輪・パラリンピックが開かれる平成32年の訪日客4千万人の目標必達に向けた財源として出国税の導入を主張。与党の税制調査会などのプロセスを介さず、検討会が9月からの数回の会合で大筋を固めた。政府内には「1千円の負担増で急激に訪日客が減少することはない」(経済官庁幹部)との楽観論も広がる。

 ただ、「格安航空会社(LCC)の利用客や若い旅行者にとっては1千円の値上げの影響は大きい」(旅行業界幹部)などと不安の声は尽きない。政府全体で既存の財源から観光施策のための予算を捻出できるとの考え方もあり、財務省内にも「税で解決するのは安直」との見方もある。

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