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関西で深刻なIT人材不足 3年後は需要の4割 育成組織の立ち上げ不可欠

2017/10/26

 りそな総合研究所は、人工知能(AI)やさまざまな機器をインターネットで結ぶ「モノのインターネット(IoT)」など「第4次産業革命」の技術を活用できる人材が、関西で深刻な不足状態に陥るとの試算をまとめた。平成32年には必要とされる数の4割程度しか確保できない見通しだ。企業の生産効率が向上しないといった悪影響が出る可能性があり、最先端IT技術者の育成の重要性を指摘している。このまま放置すれば、関西の地盤沈下が一段と加速しかねない。(橋本亮)

 中小・中堅が多く…

 経済産業省による全国規模の推計では、必要な数に対する確保可能な人数を示す充足率は28年で87%、需要が増える32年では73%になる。これに対し、りそな総研が経済規模などを踏まえて算出した関西の充足率は28年で48%にとどまり、32年は41%、37年には38%まで落ち込むと予想する。

10月の「シーテック・ジャパン2017」では、各社が人工知能(AI)や「モノのインターネット(IoT)」を融合した未来の暮らしを紹介した

 関西は中小・中堅のIT企業が多く、大手に比べて人材の確保、交流が困難なのが要因。最先端技術の導入が遅れる恐れがあるといい、りそな総研の荒木秀之主席研究員は「関西経済の成長を阻害するリスクになるので、人材育成は喫緊の課題だ」と警鐘を鳴らす。

 技術者確保に躍起

 政府はAIやIoT、ロボットなどの先進技術が牽引(けんいん)する「第4次産業革命」を成長戦略の柱に位置付けている。企業の生産性向上により、賃金の上昇を通じた経済の好循環につながるとみているためだ。深刻な人手不足に陥っている物流や製造、介護といった分野で生産性を抜本的に改善することができるとの期待も大きい。AIに限っても国内の関連市場は32年には20兆円を超える規模にまで拡大するとの予測もあり、すでに家電、自動車メーカーを中心に、技術者の獲得競争は激しさを増している。

 パナソニックは33年をめどに、AI分野の技術者を現在の約100人から10倍となる1千人程度に増やす計画を掲げる。自動車や家電など幅広い事業分野に活用できるAI技術の開発を加速させるのが狙いだ。

 だが、日本は欧米などに比べてAIの技術者の数が少なく、海外の優秀な人材を採用するにはコストがかかる。パナニックは昨年6月に大阪大とAI技術などに関する共同講座を開始したほか、今年4月には現職の大学教員を兼業社員として採用するなど、技術者の確保に力を注いでいる。

 地域間で獲得競争も

 市場が想定を超えるペースで伸びると、人材不足の度合いもそれに応じて大きくなる恐れもある。

 りそな総研の試算によると、IT企業が集積している関東においても、37年時点で必要数の69%しか人材を確保できない見込みだ。

 荒木氏は「技術者の不足はどの地域も直面する問題で、いずれは地域間での人材争奪戦となる可能性もある。関西は人材の流出リスク、開発拠点の移転にも注意が必要だ」と指摘する。

 りそな総研は産官学連携のもとでの育成組織立ち上げなどの対策を打ち出しているが、すぐに効く特効薬ではなく、地道な取り組みが必要だ。第4次産業革命の波に乗り遅れれば、関西経済の一層の衰退は避けられない。

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