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被災地を案内する「語り部バス」 ジャパン・ツーリズム・アワード大賞を受賞

2017/09/28

宮城県南三陸町の被災地を語り部が案内する「語り部バス」活動を行っている南三陸ホテル観洋(南三陸町)。震災を風化させない取り組みが評価され、「ジャパン・ツーリズム・アワード」の大賞を受賞、世界最大級の観光見本市「ツーリズムEXPOジャパン2017」で表彰式が行われた。(林修太郎)

語り部を世界共通語に

海外の旅行代理店関係者に東日本大震災で被災した建物について説明する南三陸ホテル観洋の倉橋誠司さん(中央)=25日、宮城県南三陸町

ホテル観洋によると、語り部バスの活動は震災のあった平成23年の秋ごろ始まった。「町の案内をしてほしい」という客からの要望がきっかけだった。

ホテルの職員のほか、町民らにも依頼し、多くの町職員が犠牲になった防災対策庁舎など、町内の被災地をホテルのバスで約1時間かけて巡る。

「震災直後から、風化は早いなと感じていました」

こう話すのは、ホテル観洋の女将(おかみ)、阿部憲子さん。

「震災後まもなく、津波で被災した病院や警察署などが撤去されました。それまでは壊れた建物を見せただけでお客さんが『えっ』、『あっ』と声を出していたのが、目立つ遺構がなくなり、震災の恐ろしさが伝わらなくなりました」と阿部さんは続けた。

現在では、外国人観光客向けの語り部バス活動も実施。今月25日には母国の観光ツアーに組み込むかどうかを決めるため、アメリカや中国、タイ、マレーシア、スペインなど世界の国々や地域の旅行代理店関係者が参加した。

「この辺りは津波で破壊されました。お手元にあるタブレットを見てください…」。ホテル職員で通訳の倉橋誠司さん(54)が身ぶり手ぶりを交え、関西なまりの英語で解説すると、関係者らはカメラで写真を撮ったり、タブレットで震災前の写真と見比べていた。

ホテル観洋によると、風評被害と戦い、どう外国人観光客を取り込むかが東北地方の観光業の課題の一つ。それでも、「以前と比べると外国の方の参加者も増えてきています」と倉橋さんは手応えを感じている。

一方で、阿部さんは「風化」を危惧する。

「『ここはもともと更地だったんですか?』と言ったり、思ったりする方がいます。震災を語り継ぐ活動は続けたい。『津波』という言葉は外国語の辞書にも載っている。だから『語り部』も同じように世界共通語にしたい」と話した。
 

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