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中国で急成長するシェアリングエコノミー 紛失、売春斡旋疑惑など綻びも

2017/08/19

中国で急成長している米国発のシェリングエコノミー(共有型経済)。中国政府が法整備やマナー違反の締め付けに乗り出すなど、全面支援していることが追い風で、地元メディアは「中国こそが未来」とはしゃぎ気味だ。期待とは裏腹に、大量のシェア自転車が紛失したほか、シェアアプリが売春を斡旋(あっせん)する場になっているという疑惑が報じられるなど、早くもほころびが出ている。

201708181242_1.jpg中国の都市部で急速に普及しているシェア自転車。マナー違反が問題となっている(AP)

個人の保有する遊休資産をインターネットを介して他人が利用できるサービスが、シェアリングエコノミーだ。中国では、配車サービス「滴滴出行(ディディチューシン)」や、民泊仲介サイト「途家(トゥージア)」など米国発の人気シェアリングのほか、傘、自転車、洗濯機、バスケットボールといった低料金のレンタルを含め、さまざまなサービスが登場している。

「中国共有経済発展報告2017」によると、2016年の中国における市場規模は前年比2.03倍の3兆4520億元(約56兆5500億円)だった。今後の予測でも年平均40%前後の成長が続き、20年には中国国内総生産(GDP)の10%以上を占め、サービスの提供者・関連事業の従事者は1億人規模になると見込まれている。

7月26日配信の人民網日本語版によると、中国全土で宝飾品のシェアリング業者が10社近く開業しており、業者は「高級ジュエリーは、もはや手の届かない存在ではない」などとうたっている。見知らぬ人同士で“シェア”するという本来のコンセプトとかけ離れたレンタル業者がシェアリングをうたっているのは「何でもあり」の中国ならではだ。

人民日報の国際版「環球時報」が、前のめりの報道姿勢を見せている。5月20日、「3つの理由から私たちは中国こそがシェアリングエコノミーの未来だと確信した-米メディア」と題する記事を配信。

米ブルームバーグの記事を引用しつつ、中国のシェアリングエコノミーの可能性について、(1)(2000年代に成人した)ミレニアル世代がEC(電子商取引)に積極的で、高齢者も節約好き(2)躊躇(ちゅうちょ)なく消費習慣を変えられる(3)モバイル決済が普及している―と理由を列挙した。

記事の最後では、「新たなシェアリングエコノミー関連サービスはシリコンバレーではなく、中国から生み出されることになるだろう」と、バラ色の将来を描いている。

中国政府も迅速な支援を打ち出している。16年には、「インターネット予約タクシー経営サービス管理暫定弁法」を制定し、一定の要件の下で配車サービスを容認。利用者のマナー違反が問題になっているシェアサイクルでも、政府の指導の下、業者が協定を結び、マナーの悪い顧客に関する情報を共有するようにした。マナー違反を行った顧客は他の業者のサービスも利用できなくなるため、締め付け効果は大きい。

ただ、急激な成長はひずみも生む。地元メディア「澎湃新聞」が7月6日に伝えたところによると、傘シェアリングの「E傘」が提供した傘30万本がわずか数週間で紛失したという。6月には、シェアサイクリングを展開する「悟空単車」と「3Vbike」が相次いで倒産した。

電子キーを壊されたり、衛星利用測位システム(GPS)が搭載されておらず自転車が行方不明になってしまったりして、貸し出したまま戻らなくなったという。

さらに、華商網が8月2日、一部のシェアリングアプリが売春を斡旋する場になっているという疑惑を伝えた。表向きは女性がメークや料理など、男性が運転代行や電子ゲーム指導などを提供する内容だ。だが、トップ画面に過激に露出した女性の写真が大量に掲載されており、女性ユーザーとして登録したところ、数人の男性ユーザーから「特別サービス」を暗にあるいは露骨に要求されたという。

今のところ、需要の伸長で新規参入組にも商機があるシェアリングビジネスだが、長期的に成立できるかを見極めるのには、もう少し時間がかかりそうだ。(経済本部 鈴木正行)

シェアリングエコノミー(共有型経済) モノやサービスを共有して利用する新しい仕組み。欧米を中心に世界に広がっている。個人などの所有物が使われていない時間に他の人に有料で貸し出すことで、仲介役が収入を得ることができる。カーシェアリングや、観光客を一般住宅に有料で泊める「民泊」といった、さまざまな形態のビジネスが生まれている。

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