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観光庁、旅館の共同調達・集客集客など効率運営促す 訪日客増に対応

2017/07/28

観光庁は7月27日、日本の旅館の競争力を高めるため、備品・食材の共同調達や共同集客などで施設間の連携を促す方針を固めた。成功事例を示すため、モデル事業の実施も検討する。旅館の多くで非効率な業務が低賃金につながり人材不足を招く悪循環に陥っており、2020年の東京五輪・パラリンピックに向けて急増する訪日客の需要を呼び込むためにも、旅館のてこ入れが急がれていた。

201707281156_1-300x0.jpg訪日客の増加に備え、観光庁は旅館のてこ入れに着手する

観光産業の振興策を議論する28日の有識者検討会で報告書としてまとめる。宿泊産業の競争力強化と地域観光の活性化に向けた課題を整理。産業強化策の一つとして、複数の旅館が企業や地域の壁を越えて協力し合い、コスト削減と顧客への付加価値サービスの充実を同時に図ることを促す。

観光庁は、連携のかじ取り役となる中核組織を設けることも想定。複数の旅館が共通入浴券の発行で連携するといった共同集客のほか、タオルなどの消耗品や食材を一括で大量に仕入れて納入価格を抑える活動を広げたい考えだ。

人材面の連携にも踏み込む。旅館同士で配膳や調理などの業務やマーケティングを担う各種人材の採用で協力したり、人材を融通し合ったりする。

個別の旅館に対しては、複数の作業を同時にこなす「マルチタスク」化のさらなる促進を求める。この仕組みで部署の垣根を越えた業務の効率化を促し、人件費の削減にもつなげる。宿泊業を収益拡大に導く観光経営の専門人材の育成も支援していく。

旅館はかつて地域経済の一助を担う存在だったが、人口減少や旅行スタイルの多様化に対応しきれないまま経営難に陥る施設が増え、2000年度に6万4831施設あった旅館数は15年度に4万661施設まで減少した。

観光庁によると、ホテルなどを含む宿泊施設全体の16年の年間客室稼働率が平均6割だったのに対して、旅館はこれを大幅に下回る37.9%と低迷。それだけに生産性向上や新しいビジネスモデルの構築が喫緊の課題となっている。

リクルートワークス研究所の城倉亮研究員は「中小の旅館が競争力向上に向けて成果を単独で生むことには限界があり、連携による規模の拡大が望ましい」と指摘する。ただ、家業として経営を受け継ぐ旅館の多くが旧態依然の経営手法や商慣習を踏襲しており、意識改革がどこまで進むかは未知数だ。(臼井慎太郎)

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