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大阪・道頓堀で腕組み合う女性たち…ちょっと不思議な韓国人の友情表現に迫ってみた

2017/07/29

訪日外国人でひしめく大阪・道頓堀(大阪市中央区)。この界隈で、ほかのまちではあまり見られない光景が日常化している。韓国の若い女性同士が仲むつまじく腕を組んだり、楽しげに手をつないだりして散策しているのだ。韓国が夏の休暇シーズンを迎えた7月、彼女たちに理由を聞いてみると、「仲がいいから普通のこと」などといわれ、逆に質問したことを不思議がられた。韓国の大衆文化に詳しい識者は「日本と韓国では人間関係の距離のとり方が全く違う。韓国では自分の思いを見える形で表現する」と指摘する。大阪を代表する繁華街・道頓堀で韓国の若者たちに迫った。(張英壽)

「ベストフレンドだから」とがっちり腕組み

201707271946_1-300x0.jpg夜の道頓堀でがっちりと腕を組んで歩く女性2人組=大阪市中央区

夜の道頓堀。昼間の熱気が残る中、行き交う訪日外国人たちが、通りをびっしりと埋めていた。

話している言葉を聞くと、圧倒的に韓国人、それも若者が多い。なかでも男女カップルが目立ったが、女性同士や男性同士のグループの姿も少なくない。日本政府観光局の統計によると、昨年、日本を訪れた韓国人は約500万人。延べ人数とはいえ、韓国の全人口の1割にのぼっており、大阪の場合、道頓堀がグルメや散策の定番コースになっている。

腕を組んで歩く若い韓国人女性を見つけ、声をかけた。

2人は韓国中部の大都市、大田(テジョン)市から来日したいずれも19歳の大学生で、高校の同級生。腕を組む理由を尋ねると、2人はきょとんとした様子で「仲がいいからです。韓国では自然なこと」と答えた。

韓国ではまちの中で、女性同士が手をつないだり腕を組んだりする光景はごく普通に見られる。性的な意味はなく、単純に仲がいいからで、2人だけでなく女性3人が横一列に並んで颯爽(さっそう)と腕を組んで歩く姿もある。1970年代末の韓国映画でも確認できるシーンがあり、かなり古くから行われている習慣とみられる。

大学時代の友人同士という韓昇周(ハン・スンジュ)さん(28)、廉慧媛(ヨム・ヘウォン)さん(28)、咸銀永(ハム・ウニョン)さん(29)の女性会社員3人とも「女性と手をつないで写真を撮る」と打ち明けた。「手をつなぐことに、日本で違和感を覚える人がいるとは初めて知った」という。

ひときわ激しくがっちりと腕を組んで散策していたソウル市から来た23歳と22歳の女性は理由について「ベストフレンドだから」と答え、「外国ではよく思われないのは知っていたけど、韓国でも日本でもこのスタイル」と語った。堂々と腕を組んでいた韓国首都圏の議政府(ウィジョンブ)市から来た20歳の女子大学生2人も「親友だから。韓国では普通のこと」という。

夜が更けて人通りも少なくなると、それまで見えにくかった人々の手元がはっきりと視界に入ってくるようになった。見渡すと、あちこちで、女性同士が手をつないだり腕を組んだりする姿がはっきりと確認できた。また若い韓国人男女のカップルは、堂々と腕を組み合ったりもたれ合ったりして、恋人同士であることを強くアピールしているようにも見えた。

「不思議な感じ」日本女性は否定的

201707271946_2.jpg訪日外国人でにぎわう夜の道頓堀

韓国人男性は女性同士がスキンシップをしながらまちを闊歩(かっぽ)することをどう思っているのだろうか。

「考えてみたこともない」「何とも思わない」という答えが返ってきたが、南東部の蔚山(ウルサン)市の会社員、金珍植(キム・ジンシク)さん(27)は「仲がいいことを見せようとする意図があるのでは」と推測した。男性は手をつなぐことがあるのか質問すると、「男が手をつなぐのは小学3年生まで。それも遠足などで先生に『やれ』と言われるからで、自分からすすんですることは少ない」と教えてくれた。

ところで、日本人女性は同性同士で腕を組むなどしたことはあるのだろうか。道頓堀や周辺で聞いてみると、否定派が多かった。

堺市中区の女性会社員(28)は「韓国に行ったことがあるので韓国人女性同士が腕を組むことは知っていますが、不思議な感じ。私はどんなに仲がよくてもしたことはない」と答えた。

奈良市の小学教諭の女性(28)は「中学生時代までは仲がいい女友達と手をつないで歩いていましたが、それ以降はしていません。そんなことをしていたら子供っぽい」という。教諭として接している小学生については、「女の子は手をつなぐのは普通だけど、男の子はしない」と語った。兵庫県川西市の女性会社員(29)も「いやです。日本人では見たことがない」と話した。

一方、堺市西区に住むパート勤務の女性(49)は「私はしないが、今の若い女の子は、高校生ぐらいだと、女同士で手をつないでいる姿を見る。手をつなぐ女の子が増えている気がする」という。実際、大阪市浪速区のエステティシャンの女性(27)は「仲が良かったら、女同士で腕を組むことは全然抵抗がない」と明かした。

また若い韓国人女性は、腕組み肯定派が多かったが、釜山(プサン)市の女性会社員(25)は「腕を組んだり手をつないだりするのが、好きな女の子はいるけど、個人的にはしない」という。

「思いを見える形で」不可欠

一部に例外があったとはいえ、声をかけた韓国人女性のほとんどが、同性と腕を組んだり手を組んだりしていると答えたが、日本の女性の多くにはそんな習慣はあまりなかった。

日本と韓国で何が違うのだろうか。

韓国の大衆文化に詳しく、韓流ドラマに関する著書が多い在日韓国人2世の作家、康煕奉(カン・ヒボン)さん(63)は「日本人と韓国人では人間関係で距離のとり方が全く違う。日本人は相手と一定の距離を保ち、それ以上は踏み込まないようにするが、韓国人は距離が近く、情を分かち合うのが人間関係の基本になっている」としたうえで、「情を分かち合う一番の表現方法がスキンシップ」と指摘する。

そして「女性同士であれば手をつないだり腕を組んだりするし、男性同士でも会えばまず握手をし、酒を飲んだ後は肩を組み合って歩く。日本のように黙っていても『あなたの気持ちは分かる』というのではなく、必ず自分の思いを見える形で表現する。それは韓国文化では欠かせないものだ」と語る。

康さんによると、男女カップルのスキンシップも日本人より目立つようにし、周りに愛し合っていることを示す傾向がある。男女のペアルックも多い。スキンシップだけではなく、結婚する前には新郎新婦が名所を回って2人の写真を撮りまくり、残しておくという。

このほか、韓国で友達になると歯ブラシを共有することや、鍋料理では会食する人たちが取り皿に分けて食べずに、直にスプーンやはしを入れて食べ合うこともあるという。

康さんは、そんな韓国の人間関係を紹介した後、「道頓堀のにぎわいは、ソウルでも日本でも、あまりない。訪れた韓国人は、そんなにぎやかさに刺激されて韓国にいるとき以上に、スキンシップが深まっているのではないか。道頓堀に韓国人が高揚している」と持論を述べた。
 

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