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京都市が宿泊税導入へ 諮問委、8月に市長に答申

2017/07/24

京都市の新たな財源について検討してきた市の有識者委員会(委員長=田中治・同志社大教授)は7月21日、最終会合を開き、市内のすべての宿泊施設に一定の税金をかける「宿泊税」を導入すべきだとする最終答申案をおおむね了承した。8月中に門川大作市長に答申する見通し。門川市長はすでに宿泊税導入に前向きな意向を示している。

201707241138_1-300x0.jpg最終答申案によると、宿泊税の課税対象は、同市内にあるホテルや旅館、簡易宿所、民泊施設などすべての宿泊施設。同様の宿泊税は東京都と大阪府が導入しているが、宿泊料が1万円未満などの低額の施設には課税しておらず、全施設が対象となるのは京都市が初のケースになる見込み。

税額の詳細などは未定だが、「1人1泊1万円以上1万5000円未満の場合は100円」などとする東京都や、宿泊料に応じて100~300円とする大阪府の事例を参考にする方針。一方、最終答申案では、修学旅行の学生による宿泊には課税を免除すべきだとした。

京都市によると、対象の施設は今年5月時点で2178軒。これらの施設の昨年1年間の宿泊者数は約1415万人で、うち約318万人が訪日外国人だという。同市は、宿泊税1人1泊100円とした場合で、20億~30億円の増収があるとみている。

新税導入は、市の慢性的な財源不足に加え、好調な観光を支える環境整備などに財源が必要という観点から検討が進められてきた。宿泊税で得た税収は、市の観光振興施策の財源として使う方向で調整される。

有識者検討委は昨年8月から計7回開催。今年5月の会合で答申案が提示された際、門川市長は「何に使うか深い議論をしっかりして、実行に移していきたい」と述べ、導入に前向きな発言をしていた。

市は8月にも行われる答申を受け、税率など具体的な制度設計を盛り込んだ条例案をまとめる方針。

京都市宿泊税、背景に税収不足と急増する訪日客への対応

京都市が宿泊税の導入を目指す大きな背景には、ここ数年で急増したインバウンド(訪日外国人客)などの観光客らの存在がある。平日・休日を問わず観光客らでにぎわう同市では、案内板などの多言語対応や地下鉄・バスの混雑解消などが新たな課題に浮上。財政状況が厳しい中、宿泊税で新たな財源を確保し、こうした課題に対応する狙いがある。

「他の政令指定都市に比べ、うちは税収を取り切れていない」

京都市幹部がこう指摘する通り、同市は税収が低くなる構造的な問題を抱える。例えば、景観を守るため同市内には高さ制限があるため低層の建物が多く、固定資産税の評価が低い。また、市内の宗教施設や大学は同税が非課税だ。さらに市民の約1割は収入に乏しい学生とされ、個人市民税も少なくなる。

新税創設は、こうした事情から陥る慢性的な財源不足の解消に加え、近年好調な観光面への“投資”が緊急の課題となっていることが影響している。

京都市観光協会によると、市内の主要ホテルの客室稼働率は毎月、平均90%を超える状況が続く。このうち約4割はインバウンドの宿泊客だ。このため道路渋滞の解消、多言語への対応など、観光面の環境整備の必要性は高まっている。

昨年8月から議論を進めてきた同市の有識者委員会は、観光関連で新たな税負担を求めるべきだとし、宿泊▽駐車場への駐車▽別荘の所有―を課税対象とする案を中心に検討。このうち宿泊税は東京都や大阪府で先行事例があり、課税対象が明確で、税収の見込みも立つ。また業界側の反応は上々で、「観光振興への使途の明確化」などを条件に容認する方針だという。

昨年1年間の市内の宿泊客数は1415万人だが、市行財政局によると、延べ人数でみると約2000万人。仮に宿泊税を1人1泊100円とした場合、年間20億円の税収が見込める。

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