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空港検査員の人員確保難題 東京五輪へ不安、低賃金・長時間労働

2017/07/11

2020年の東京五輪・パラリンピックを控え、国内の主要空港で手荷物検査などを担う保安検査員の人材確保が課題となっている。検査員はテロなどを防ぐ水際対策の要だが、賃金水準が低い上、労働時間も長く離職率が高い。危機感を抱く国や空港会社は、航空各社による委託から空港会社主導の契約への切り替えを検討するなど待遇改善に動き始めた。

1年で4分の1離職

201707111119_1-300x0.jpg競技会で検査技術などを競う検査員=6月、成田空港

「やりがいはあるが、子供との時間は取れず貯金もできない」

成田空港の検査員として5年目となる20代前半の男性がため息を漏らした。

月給は、残業代や妻子の家族手当を含めても手取りで20万円程度。シフト制の勤務時間は最大15時間半に及び、繁忙期には休日出勤もある。

厚生労働省の毎月勤労統計調査によると、30人以上の事業所で昨年度、検査員を含む警備業の月給は平均約23万5000円。全産業平均に比べて約12万7000円低く、1カ月の実労働時間も約168時間と19時間以上長い。

離職率は高く、成田国際空港会社(NAA)の調査によると、昨年4月に約940人いた成田空港の検査員のうち、4分の1以上の約240人が1年後に辞めていた。他空港も似た状況とされる。

賃金が低く抑えられる一因は、航空会社が検査会社に業務委託をしている構図にある。国内の主要空港では受注競争が激しく、落札額は下落傾向で、賃金にも影響を及ぼしているという。

受注競争、落札額下落

ある検査会社の幹部は「待遇を改善して辞める人を減らしたいが、自社だけではどうにもならない。空港全体で検査員の重要性を再認識してほしい」と話す。

訪日外国人が急増する中、空の安全に直結する検査員確保は国にとっても重要課題だ。国土交通省は昨年秋、離職の実態把握や労働環境の改善に向けた聞き取りを開始。安倍晋三首相も5月の衆院予算委員会で「航空会社に速やかな確保を指導している」と答弁した。

空港会社が航空会社に代わり、検査会社と直接契約を進める動きも。関西空港を運営する関西エアポートは、17年度中の契約に向けて調整中。NAAも19年度中に実現するめどをつけた。

NAAは待遇改善の第一歩と位置付けるが、担当者は「どういう環境が整えば、離職が止まるかはまだ分からない。知恵を出し合い、できることから進めたい」と話す。

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