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着物を「ヒジャブ」に再利用、ムスリムの人たちに「和の心」を 奈良でレンタル開始

2017/07/08

着物の生地を再利用したイスラム教徒(ムスリム)女性向けのスカーフ「ヒジャブ」のレンタル・販売に、奈良市の着物レンタル会社が乗り出した。「着物ヒジャブ」はまだ珍しいといい、経済成長が著しいイスラム圏をターゲットにした新ビジネスとして注目される。

「日本らしいヒジャブがあるとうれしい」の一言から

201707061454_1.jpg着物を再利用して作ったヒジャブをかぶり、お茶体験をするインドネシア人の留学生=奈良市

手がけるのは、外国人観光客に着物レンタルや着付けサービスを提供する「わぷらす奈良」(本社・奈良市)。今年3月、シンガポールから観光に訪れたムスリム女性に「日本らしいヒジャブがあるとうれしい」といわれたのを機に、手持ちの古い着物で試作。好評だったことから、5月末から制作を始めた。

「ヒジャブ」はムスリム女性が頭を覆うスカーフ。イスラム圏の各国で女性の社会進出が進む中、近年はカラフルな色やレースをあしらうなど、おしゃれなヒジャブも登場。若い女性の人気を集めているという。

「わぷらす」では、古い着物を手作りでリメークし、「着物ヒジャブ」を制作。和の色柄が美しいうえ、絹ならではの柔らかさや通気性が特徴で、1点4千円からで販売しているほか、着物や小物も含むレンタルをセットにした観光プランサービスを提供している。

インドネシアから来日し、大阪市内の日本語学校に通うムフィーダ・ハディ・ジャマルさん(24)は5月末、着物と着物ヒジャブをレンタルして「和文化体験」に参加。「ヒジャブが着物からできているなんてびっくり」、アイファトゥル・ファジュリアさん(21)も「すごくきれいで、日本らしい。着物の生地は暑くなく、これなら夏でも使えそう」と笑顔を見せた。

わぷらす奈良店長の山下ゆくみさん(45)は「メード・イン・ジャパンを求める海外の方の期待にも応えられる品」とし、「手作りなので大量生産はできないが、ムスリムの方に“和の心”が届けばうれしい」と話した。

「本物の着物」という付加価値は最大の魅力

201707061454_2.jpg着物を再利用して作ったヒジャブ。同じ生地のブローチも用意し、日本らしい「おもてなしの心」を表している

日本政府観光局(JNTO)によると、平成28年に日本を訪れた約2404万人の外国人観光客のうち、東南アジアからの訪問者は250万人を超えている。ムスリムが6割を占めるマレーシアから39万4000人(前年比9万人増)、9割を占めるインドネシアからは27万人(前年比7万人増)が来日している。

2020年東京五輪に向け、国内ではムスリム対象のサービスの充実に取り組む企業などが増加。イスラムの教えで許される規範に適合した「ハラール」食の提供や、礼拝に使う祈とう室の設置などが各地で進んでいる。

松山市で和装商品を扱うアパレルメーカー、ふく紗は昨年3月、全国に先がけて着物生地からムスリム女性向けに仕立て直したリメーク服を商品化。イスラム圏を観光や仕事で訪ねる日本人が土産用に購入するケースが大半という。

ふく紗の伊東信二社長(57)は、「インドネシアでは、レーヨンで作った着物柄のプリント生地が大量に売られており、着物に対する関心は高い。『本物の着物』という付加価値は最大の魅力」と指摘。「奈良は外国人観光客も多く、着物ヒジャブを通して日本文化を発信するには最高の土地ではないか」とした。

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