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訪日客の地方誘致、東京都が後押し 「大阪、京都以外にも…」観光ルートづくり本格化

2017/07/02

訪日外国人旅行者の半数以上が訪れる東京から地方に周遊する人を増やすため、東京都が東日本大震災や熊本地震の被災地などと連携し、東京と地方を結ぶ観光ルートをインターネット上で紹介する取り組みを本格化させている。訪日客がまだ少ない地方の経済を活性化させる狙いで、既に17県とのルートを設定。2017年度は九州全域に広げ、さらに全国各地へ順次拡大する方針だ。

被災地などと連携

201706301859_1-300x0.jpg東京を訪れた外国人観光客を地方に周遊させる取り組みが本格化している

16年の訪日客は過去最高の2403万9000人で、都の集計ではこのうち1310万2000人が東京を訪れた。東京以外は、大阪や京都といった観光資源の豊富な「ゴールデンルート」や北海道、沖縄などに偏っており、その他の地域への誘致が大きな課題だ。

都は15年度から復興支援として東北6県と、16年度からは被災した熊本・大分両県に加え、訪日客が比較的少ない中国・四国の計9県とそれぞれ連携。ネット上に専用サイトを設け、便利な交通手段や魅力的な観光スポットを紹介している。

具体的には、海外の空港から東京に入り、各県に移動して周遊する3日間ほどのプランを提案。航空、鉄道各社の協力も得て、路線や移動時間も詳しく説明している。英語や中国語、韓国語などに翻訳し、訪日客の体験談も掲載している。

例えば福島県への観光ルートは「MIRAI&SAMURAI(未来と侍)」と名付け、1日目は都内で日本科学未来館(江東区)や家電量販店を訪問。2日目は福島県でソースカツ丼を食べ、鶴ケ城(会津若松市)などを巡るプランが紹介されている。福島県によると、訪日客数は回復しつつあるが震災前の水準には戻っていない。県の担当者は「東京に来た客をいかに引っ張るかが重要で、連携はありがたい」と話す。

政府も訪日客の地方分散を後押しする。15年度から進める「広域観光周遊ルート」事業では、地方の観光名所を結ぶコースを設定し、PR費などを一部支援している。

東京都は20年に訪日客2500万人、24年には3000万人を目指す。担当者は地方との連携に関して「日本での滞在を増やせば消費拡大につながる。共存共栄を目指したい」と意気込んでいる。

訪日客地方誘致 国の支援不足に不満も

東京都が進める地方への観光ルート開拓は、大規模災害の被災地を含め、訪日客が伸び悩んでいる地域にとって誘致の後押しになると歓迎の声が上がる。一方、受け入れ環境の整備を急ぐ地域からは、国の支援不足に対する不満も漏れる。

熊本地震後、訪日客が減少した熊本県。都は復興支援として、熊本城(熊本市)やイルカウオッチング(上天草市)などを組み込んだルートを紹介。海外でも人気のPRキャラクター「くまモン」が温泉に入る写真をサイトに掲載した。

「東京との連携はまさに鬼に金棒」と県の担当者。「東京とは違う魅力を打ち出すことで、相乗効果につながる」と手応えを語る。

一方、東京からの周遊ルートがまだ設定されていない自治体も、取り組みを進めている。

福井県の場合、16年の外国人宿泊者数は延べ約5万4000人(観光庁まとめ)と全国最下位。国際空港がなく、世界遺産など分かりやすい観光資源も少ないことが悩みだ。Wi-Fiや多言語対応といった環境整備が課題で、担当者は「国は訪日客が少ない県に交付金を出すなど重点的に支援してほしい」と注文する。

これに対し観光庁は「訪日客が少ない地域でも、既存の地域資源を磨き上げて人を呼び込む工夫はできる」と強調。古民家を宿泊施設やレストランに活用する取り組みや、農業や漁業の体験サービスといった観光プログラムの開発を後押しする方針だ。


 

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