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民泊、訪日客の受け皿期待も… 新法成立にぬぐえぬ不安、苦情や指導「追いつかない」

2017/06/17

一般住宅に有料で客を泊める「民泊」の営業ルールを定めた住宅宿泊事業法が国会で成立した。急増する訪日外国人旅行者の受け皿として、民間のビジネスチャンスの拡大や地域経済の活性化への期待は高まる。ただ、騒音など生活環境の悪化も懸念される中、自治体では独自の規制を検討する動きも出ている。

年180日が上限

201706141514_1-300x0.jpg外国人旅行者らでにぎわう東京・浅草の浅草寺雷門

6月9日成立した住宅宿泊事業法では、家主が都道府県など自治体に届け出れば、年180日以内の民泊営業が可能となる。年明けに施行される見通しで、旅館業法の許可や国家戦略特区の認定など申請や審査の手続きが煩雑な現行制度からは大幅な規制緩和となる。

米仲介サイト大手「エアビーアンドビー」日本法人の田辺泰之代表取締役は「民泊を始める人に分かりやすく現実的な内容だ。ルールの明確化でビジネスの間口も広がる」と新法成立を歓迎した。同社のサイトには日本国内の約5万件が登録され、2016年は延べ370万人の訪日客が利用したという。

田辺氏は「旅行者には飲食やクリーニングなどのサービスが必要で、地域の消費拡大につながる。自治体などと連携して民泊への理解を深めたい」と力説した。

全国に先駆けて国家戦略特区を活用した「特区民泊」を進める東京都大田区では、認定を受けた37の施設で民泊の営業が行われている。

区には近隣住民からの苦情は寄せられておらず、生活衛生課は「チェックイン時の対面での身元確認や、近隣への説明が徹底されているからではないか」とみる。

悪影響に不安

ただ、旅館業法や特区制度より規制が緩やかな新法に対し、住民生活への悪影響を不安視する自治体も少なくない。

「マンションに見知らぬ外国人が大勢出入りしている」「夜中に騒ぐ声がうるさい」。無許可営業の民泊に対する苦情が相次いでいた京都市は昨年7月に電話窓口を開設、1日20件ほどの相談が寄せられるという。

16年度の現地調査は約2000回を超え、574施設に旅館業の許可取得や営業中止などの指導をしている。しかし、家主の所在や連絡先が特定できない施設が約500あり「18人の職員では追いつかない」(担当者)。

京都市は、ホームステイ型や伝統的な木造家屋の「京町家」を活用した民泊が望ましいとして、家主不在の集合住宅での営業を原則として規制する条例を検討している。門川大作市長は「観光地と住宅地の共存のため、京都ならではのルールが必要だ」と強調した。

法令順守が鍵

民泊を独自に規制する動きは、東京都新宿区や長野県軽井沢町など各地に広がりつつある。みずほ総合研究所の宮嶋貴之主任エコノミストは「宿泊施設の選択肢が広がれば、多様化する訪日客のニーズに対応でき、地域に新たな経済効果も生まれる。地域の実情に合わせて柔軟に対応することが必要ではないか」と指摘する。

民泊サービスが普及するには、仲介業者のモラル向上も重要な鍵となる。仙台市のIT企業「百戦錬磨」が運営する仲介サイトは、旅館業法の許可や国家戦略特区の認定が確認できた物件のみを掲載するなど「法令順守」を重視している。

新法施行後は自治体に届け出ていない物件を取り扱わない方針で、同社広報は「仲介業者が違法な物件を取り扱わなければ、ルールを守らない民泊営業は自然と淘汰(とうた)される」と気を引き締めた。

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