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「支付宝」「微信支付」も即時判別 中国人客取り組み不可欠、スマホ決済を高速マルチで対応

2017/06/06

クレジットカードや電子マネーによる支払いが多い訪日外国人を取り込むため、現金を使わないキャッシュレス決済を受け入れる商業施設・店舗が増えている。金融とITを融合したフィンテックの発達により、多様な決済手段に1台で対応できるマルチ決済サービスが登場してきたからで、三菱UFJニコス(本社・東京都千代田区)は安全性と高速処理を強みとするシステムを売り込む。ベンチャーの「NIPPON PAY(ニッポンペイ)」(本社・東京都中央区)は中国人が多く利用するスマートフォンを使った店頭決済サービスの採用を呼びかけ、大手飲食チェーンへの月内導入が決まった。(松岡健夫)

スマホ決済の意外な落とし穴…課題を解消

201706061221_1.jpgニッポンペイのマルチ決済サービスを利用できる東京・白金台のカフェ「シロカネラウンジ」

キャッシュレス化の進展は、東京五輪・パラリンピックが開催される2020年に訪日外国人観光客4000万人という政府目標の達成に追い風となる。また、これを機にカードが使えない店舗が多い地方の観光地でも訪日客誘致に向けてマルチ決済サービスが普及すれば、日本の課題でもあったキャッシュレス決済比率の引き上げにも貢献することになりそうだ。

「レジの決済スピードが上がり、ランチタイムの混雑緩和につながった」。東京タワー(東京都港区)に近く、在日中国人もよく利用する中華料理店「満州香」の店長、李松さんは喜ぶ。

中国電子商取引(EC)最大手アリババグループの「支付宝(アリペイ)」、中国インターネットサービス大手テンセント(騰訊)の「微信支付(ウィーチャットペイ)」という中国で圧倒的に使われているスマホ決済サービスに対応できるアプリを4月に導入した。サービスを提供したのがニッポンペイだ。

日本円やクレジットカードでの支払いではやり取りに時間がかかり、レジに列ができることもあった。しかし利用者がスマホでQRコードを提示し、店舗側がタブレットなどにインストールしたアプリで読み取れば決済が完了するため、お客を待たせなくなった。

従来はアリペイとウィーチャットペイのそれぞれに対応するアプリが必要なうえ、中国人がどちらを利用しているかを判別するのに時間がかかった。レジの待ち時間削減のためにスマホ決済を導入したにもかかわらず、かえって利便性を低下させていた。

ニッポンペイのアプリは2つのQRコードを自動で判別する機能を持っており、こうした問題を日本で唯一、解決できる。利用者はもちろん、加盟店にも日本円で入金されるので為替変動リスクを心配する必要はない。

NIPPON PAYの續仁(つづき・じん)社長は「中国ではスマホ決済を使えないお店を探すほうが難しいほど普及している。中国人をターゲットにするなら導入したほうがいい」と誘う。加盟店からは「海外客とのやり取りがスムーズになった」「小銭の計算でもたつかない」といった声があがる。レジ待ち時間の短縮によって購入機会の損失を防ぐことができるほか、SNS機能を持つウィーチャットペイを利用した場合、口コミ効果も期待できる。

ニッポンペイは決済サービスの普及に向けて、丸紅グループのMXモバイリング(本社・東京都江東区)と提携、代理店や取扱い店舗を増やしていく。MXモバイリングのほかにも約170社の代理店網を整備し、すでに200店がアプリを導入した。大手飲食チェーンなども申し込みを済ませており、6月には利用を始める予定で、一気に1000店に拡大。年内には加盟店が1万に届きそうな勢いだ。

越境ECでも威力を発揮…「安全・安心」の環境整備

201706061221_2.jpgJ-Mupsで宿泊代金を支払えるロイヤルパークホテル ザ 汐留のフロント。 お客の目の前でカードを読み取るので不安を与えない

2016年の訪日外国人旅行者は2403万人、このうち中国人は637万人。一方、旅行消費額は3兆7476億円で、中国が1兆4754億円と全体の4割を占める。「爆買い」が下火になったとはいえ、15年の1兆4174億円を上回った。リピーターや中間所得層の訪日が増え、高級品より日用品に関心を示すようになり、気に入った商品を日本の通販サイトから再度購入する越境ECの利用も増えている。

ニッポンペイは越境ECにも対応。ECショップ向けはアリペイ、ウィーチャットペイに加え、中国の「銀聯カード(ユニオンペイ)」も利用できる。

この中国3大決済が利用できるサービスとして6月末から、メールリンク決済サービスを始める。電子決済サービスを持っていない医療機関や設計士、デザイナーなどが、訪日した中国人に面談・カウンセリングし、帰国後に見積書を提出し決済するような利用を見込む。

201706061221_3-300x0.jpgJ-Mupsの端末

「銀聯カードにも対応しているし、お客さまの目の前でクレジットカードを読み取るので不安を与えないですむ」。こう話すのは「ロイヤルパークホテル ザ 汐留」(東京都港区)の副総支配人、善方健氏。

13年の「ザ 汐留」への名称変更を機にシステムの入れ替えを検討していたとき、三菱UFJニコスがJR東日本メカトロニクス(本社・東京都渋谷区)共同開発したクラウド型マルチ決済システム「J-Mups(ジェイマップス)」に出会った。

カードのIC化に加え、加盟店の端末にデータが一切残らないという顧客のカード情報の非保持化にも対応しており、キャッシュレスが当たり前の外国人が気にする決済の安全性を高く評価、導入を決めた。

中国で普及する銀聯カードや加盟店独自のポイントプログラムにも1台の端末で対応できるほか、訪日客がクレジットカード決済時に自国通貨で支払える「DCC決済サービス」を使えることも決め手となった。「為替変動に左右されず、その日のレートで安心して決済できる」(三菱UFJニコスの市川岳志法人業務部次長)と好評で、三菱UFJニコスは5月、対応通貨を10から19に拡大した。

さらに据え置き型だけでなく、モバイル型マルチ決済端末「BluePad‐50」にもこうした機能を搭載。カウンターに立ち寄らずに店内で決済できるためスピーディーなうえ、顧客の目の前でカード決済が完了するため安心を提供できる。機能を認めたKDDI(本社・東京都千代田区)は2500のauショップに導入した。

増え続ける訪日客を受け入れるには「安全・安心・快適な」キャッシュレス決済環境の整備が欠かせない。特に観光資源を抱える地方には「待ったなし」といえる。そのためにも複数の決済サービスを提供できるシステムの普及が求められる。

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