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「君の名は。」「この世界の片隅に」「ひるね姫」…アニメ映画続々ヒットでGW後も続く“聖地巡礼”ブーム

2017/06/04

アニメ映画に登場するゆかりの地を歩くアニメツーリズム「聖地巡礼」のブームがGW(ゴールデンウイーク)後も続いている。昨年封切られ大ヒット中のアニメ「君の名は。」の舞台のモデルとなった岐阜県飛騨市や、「この世界の片隅に」の舞台、広島県呉市にはアニメの世界を追体験しようと全国からファンが訪れ、新たな観光ルートとしてにぎわっている。3月公開の「ひるね姫~知らないワタシの物語~」の舞台、岡山県倉敷市では劇中に登場する下津井港などを訪ねるスタンプラリーを開催中だが、イベント期間中(6月30日まで)の目標数をすでに突破。JR西日本も劇中のシーンを再現したラッピング車両を瀬戸大橋線で運行するなど官民一体となった観光客誘致が展開されている。(戸津井康之)

アニメの力で地域活性化

201706022223_1.jpg瀬戸大橋と下津井の情景が印象的な「ひるね姫」のワンシーン(今秋、DVD、ブルーレイが発売予定)(C)2017ひるね姫製作委員会

「ひるね姫」の舞台は瀬戸内海に面した下津井。かつて港町としてにぎわったが、昭和63年、瀬戸大橋開通に伴い旅客港の機能を失い観光客は激減し、過疎化も進行。それだけに聖地巡礼効果への期待は大きい。

「下津井がアニメ映画の舞台になるのは初めて。『君の名は。』での飛騨市の聖地巡礼の観光効果を参考に、昨年夏から地元商工会などと話し合い準備を始めました」と、スタンプラリーを企画した倉敷市観光課の横田裕子さんは語る。

主人公は、下津井で父と2人で暮らす高校生のココネ。夢を見るうちに現実と夢の世界が交錯し…というファンタジーだ。

神山健治監督は「新作の舞台を探すため瀬戸内周辺をドライブ中に下津井を見つけ、街の魅力に惹(ひ)かれた」と言う。

地元警察署も協力!?

201706022223_2-300x0.jpgJR西日本も倉敷市への聖地巡礼を全面支援。「ひるね姫」のラッピング車両を瀬戸大橋線などで運行している(提供)

倉敷市が「ひるね姫」公開に合わせて作った聖地巡礼のルートマップには、ココネが登校に使う田之浦のバス停やココネの幼なじみの父が営む下津井港の船舶ドック、ココネの父が連行される児島署など劇中に登場する舞台を紹介し、観光客に配布している。

スタンプラリーは映画公開前の3月1日から始まったが、これを告知する同市の3月のHPへのアクセス数は前月比約140パーセントに急増。当初、スタンプラリーの参加者は来月末までの期間中で約1000人と想定していたが、GW中に目標数を軽く突破し、今月18日時点で1500人以上が参加している。

「記念撮影するファンに『署内は撮影禁止だが外観は撮っていいです』と警察官が協力してくれるのも心強い」と話すのは、下津井の玄関口、JR児島駅観光案内所で来訪者の対応に追われる観光スタッフ、古橋しのぶさん。「下津井がこんなに大勢の観光客でにぎわう光景を見るのは久しぶり。地元活性化につながれば」と期待を込める。

また、聖地巡礼のファンを歓迎しようとJR西日本がラッピング車両を、地元の下津井電鉄がラッピングバスを期間限定で運行。官民で連携し、観光客の受け入れ体制を整えている。

201706022223_3.jpg地元の下津井電鉄は「ひるね姫」のラッピングバスの運行で聖地巡礼をサポートしている(提供)

大ヒット作が火付け役

興行収入が歴代邦画記録2位となった「君の名は。」は聖地巡礼ブームの火付け役だ。

田舎町に住む女子高生、三葉と東京の男子高生、瀧の2人の心と体が入れ替わり展開する青春ドラマ。三葉の暮らす糸守町は架空の町だが、飛騨市や新海誠監督の故郷・長野県小海町などがモデルとされている。

重要な舞台となる糸守湖も架空の湖だが、新海監督が「イメージは小海町高原美術館近くの松原湖や大月湖」と話したことから美術館には連日、ファンが殺到。昨年末に開催された「君の名は。」の企画展の来館者数は、平成9年の開館以来の企画展で最多記録を更新した。また、瀧が仲間と訪ねるJR飛騨古川駅や飛騨市図書館も一躍人気スポットとして全国で知られるようになった。

飛騨市観光課によると平成28年の観光客数は前年比で約3.6%増加し、100万人を超えた。「映画公開後、飛騨市図書館の平日の来館者数は前年比で1.5~2倍にまで増加。まさに『君の名は。』効果です」と同課職員は話す

歴史語り伝える場に

201706022226_1.jpg呉市街地と港を一望する「この世界の片隅に」の印象深いシーン(C)こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会

「この世界~」は昨年11月の公開時は63館での上映だったが、今年の日本アカデミー賞最優秀アニメ作品賞を受賞するなど話題は尽きず、今年に入って最大約300館まで拡大上映され、呉市への観光客が急増している。

第二次世界大戦下、広島市から呉市へ嫁ぐ18歳のすずの成長物語。広島出身の漫画家、こうの史代さんが地元の戦争体験者に取材し、戦時下の市民の日常を描いた漫画原作を元に片渕須直監督がアニメ化した。

呉の港の情景が忠実に再現され、呉市街地と海を一望できる灰ケ峰の展望台や、三ツ蔵が印象的な国重要文化財「旧沢原家住宅」などに全国からファンが殺到。映画のヒットを受け、同宅が特別公開された。

地元の民間組織「『この世界の片隅に』を支援する呉・広島の会」では有志でルートマップを制作したり、観光案内所を開設するなどし、ファンの受け入れをサポート。片渕監督を招いた講演会なども企画してきた。

大年健二代表は「かつてないにぎわいに驚いています。この人気を一過性に終わらせないためにも、将来、歴史を語り次ぐ『この世界の片隅に』の博物館を建設できれば」と構想を膨らませている。

アニメツーリズム確立へ

各地でにぎわいをみせる聖地巡礼ブームを一過性に終わらせず、外国のアニメファンも誘致する恒久的なインバウンドに結びつけようと、昨年9月、KADOKAWAやJTB、日本航空などが連携し、一般社団法人「アニメツーリズム協会」を設立。人気の「アニメ聖地」88カ所を一般投票などで選定し、今年夏に発表する予定で、官民連携による新たな観光ルートの確立を目指すという。

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