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ラグビーW杯日本大会、経済効果は4000億円 旅行業界など高まる期待

2017/05/11
201705111147_1.jpgラグビーバーで2019年W杯の組み合わせ抽選会を見守るファン=10日午後、東京・高田馬場

4年に1度のラグビーの祭典で、アジア初開催となる2019年ワールドカップ(W杯)日本大会の組み合わせ抽選会は5月10日、京都迎賓館で行われた。15年イングランド大会で歴史的3勝を挙げ、初の8強入りを目指す日本は1次リーグA組に入り、世界ランキング4位のアイルランド、同5位のスコットランド、欧州予選勝者、欧州・オセアニア・プレーオフ勝者との対戦が決まった。

日本大会は、日本経済に好影響を及ぼしそうだ。全国12会場への国内外からの多くの来訪客を当て込み、スポーツ用品メーカーのほか、旅行、交通関連などの企業の期待は高い。民間シンクタンクの試算では、W杯の経済波及効果は最大約4000億円に達する見通しだ。

各シンクタンクが試算する経済効果は、来訪客による消費やスタジアム整備、雇用拡大など、直接、間接を含め数千億円規模に上るとみる。このうちEY総合研究所は約4200億円、日本政策投資銀行は2330億円の効果を試算。内需が力強さを欠く日本経済にとって、成長力強化に向けた“起爆剤”を期待できる可能性がある。

期間中の来訪客は、海外からだけで約40万人に上るとみられている。

こうした状況を踏まえ、W杯で公式旅行代理店の指名を受けているJTBは、見どころ解説や豪華ランチを楽しみながら観戦できる新たな取り組みを予定。高橋広行社長は「訪日客を地方に誘致し、日本の魅力を発信するチャンスになる」と意気込む。

東京メトロは、東京観光が活気づけば、定期外の収入を増やす好機と位置付ける。奥義光社長は、多言語案内の取り組みを強化するとした上で「駅周辺の魅力を発信し、地下鉄で東京を楽しめる便利さをアピールしたい」と“書き入れ時”への意欲を示した。

スポーツ用品業界では、グループ会社がラグビーウエアなどを販売しているゴールドウインが「2年前の(W杯での)日本代表活躍後、直営店の売り上げの伸び率は平均で2桁を超えた」として今回も増収を期待。

パナソニックのラグビーチームに所属する田中史朗選手とシューズの供給契約を結んでいるミズノは「(同選手が)代表に選ばれればサポートに全力を挙げたい。ビジネスにも好影響」としている。

一方、政府もスタジアム整備などを通じた経済効果を見込む。スポーツ施設の収益力向上に取り組む経済産業省とスポーツ庁は、ラグビーW杯を20年東京五輪・パラリンピックにつながる重要な国際イベントと位置づける。経産省幹部は「東大阪市の花園ラグビー場が改修でどう変わるのか、期待は大きい」と指摘する。

安倍晋三首相「世界の記憶に残る大会にしたい」

201705111147_2.jpg2019年ラグビーW杯日本大会の組み合わせ抽選会でボールを引く安倍首相。右はワールドラグビーのビル・ボーモント会長=5月10日午後、京都迎賓館(GettyImages/WorldRugby)

安倍晋三首相は10日、京都市の京都迎賓館で行われたラグビーの2019年ワールドカップ(W杯)日本大会の組み合わせ抽選会で挨拶し、「世界中の人々の記憶に残る大会にしたい。日本国民が一丸となって最高のおもてなしをしたい」と述べた。

抽選会のプレゼンターを務めることに関し、昨年のリオデジャネイロ五輪閉会式で人気ゲームキャラクター「スーパーマリオ」にふんしたことに触れ、「マリオ以上の緊張を感じている」と語った。また、岩手県釜石市や熊本市といった被災地が会場に含まれることについて「さらなる復興の大きな力になると確信しています」と強調した。

初めて英国・アイルランド離れ京都で抽選会 日本開催は認知度アップが課題

2年後に迫るラグビー・ワールドカップ(W杯)日本大会の1次リーグ組み合わせが10日、決まった。過去8大会が開かれたのは欧州や南半球の伝統国だったが、2019年は“未知の地”アジアで初の開催。ホスト国の日本は代表の強化とともに、認知度向上など運営面の課題も乗り越えなくてはならない。(奥村信哉)

201705111147_3.jpg蹴鞠に参加したラグビーW杯の各国チームヘッドコーチら=10日午前、京都市左京区の下鴨神社(寺口純平撮影)

「全48試合を全て満員にする。それが大会の成功に結びつく」。自国開催のラグビーの祭典に向け、200万枚の入場券販売を目指す大会組織委の嶋津昭事務総長はそう意気込む。だが、ヤマハ発動機スポーツ振興財団が昨年発表したインターネット調査では、19年W杯の日本開催を「知っている」としたのは回答者の50.4%にとどまった。

国内最高峰のトップリーグ入場者数も15~16年は過去最多の49万1715人を記録したが、昨季は46万364人と減少。日本が歴史的3勝を挙げた15年W杯イングランド大会で高まったラグビー熱は一服した感がある。入場券の3~4割は海外で販売する見通しだが、人気の高い欧州などから遠い日本まで観客を呼び込むのは容易ではない。

そんな中、海外への「一の矢」となったのが今回の抽選会だ。日本独特の景観や文化を印象づけるため、初めて英国、アイルランドを離れ、京都迎賓館で開催。安倍晋三首相も駆けつけてアピールに一役買った。

国際統括団体、ワールドラグビーのビル・ボーモント会長は「素晴らしい抽選会ができた。開催地の人に興味を持ってもらうにもいい試みだ」と内外への発信力に手応えをつかんだ。

周知活動とともにレガシー(遺産)を国内にいかに残すかも、成功への大きな鍵だ。組織委理事は「大会後も競技の繁栄を支える組織をつくっていけるか。協会、ボランティア、行政と三位一体で地域にラグビーを根ざしていこうとすることが大事」と語る。

W杯の開催地は全国12会場にまたがり、出場チームが主に大会期間中に滞在する公認キャンプ地には37都道府県の90自治体から応募があった。

日本と同組になったスコットランド代表が開幕前に滞在する長崎市では昨年6月、来日した代表チームがラグビー教室を開き、地元の小学生と触れ合った。楕円(だえん)球を通じた国際交流が全国各地で進めば、大半の競技を一都市で行う翌20年の東京五輪とは違ったにぎわいが創出できる。

「四方八方に太い絆をつくっていかねばならない」

嶋津事務総長は仲間同士で支え合うラグビー精神の醸成が、あちこちで進む姿を思い描いている。

 

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