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「日本遺産」第3弾に17件 北前船寄港地や忍者の里 計54件、観光振興目指す

2017/05/01

文化庁は4月28日、地域の有形、無形の文化財をテーマでまとめる「日本遺産」に、北海道から福井の7道県にまたがる「北前船寄港地・船主集落」や三重、滋賀両県の「忍びの里 伊賀・甲賀」など23道府県の17件を新たに認定した。

平成27年から毎年認定しており、今回の第3弾で計54件となった。2020年東京五輪・パラリンピックまでに100件に増やす。 大阪府河内長野市など府内5市町村と神戸市が申請した南北朝時代の武将・楠木正成と嫡男の正行(まさつら)をテーマにした「摂津・河内に生き続ける楠公(なんこう)さん~中世のサムライヒーローが遺(のこ)した聖地を巡る旅~」は選ばれなかった。

日本遺産 地域の歴史的魅力や特色を通じて我が国の文化・伝統を語るストーリーを文化庁が認定する。ストーリーを語る上で欠かせない魅力溢れる有形や無形の様々な文化財群を,地域が主体となって総合的に整備・活用し,国内だけでなく海外へも戦略的に発信することで地域の活性化を図る狙いがある。

振楽焼のタヌキもびっくり…“忍者の里”滋賀・甲賀 

201705011144_1-300x0.jpg認定を受け、喜ぶ三日月大造知事(右端)や岩永裕貴・甲賀市長(前列右から2人目)ら

滋賀県甲賀市などが申請した「忍びの里 伊賀・甲賀―リアル忍者を求めて―」と「きっと恋する六古窯―日本生まれ日本育ちのやきもの産地―」が認定され、関係者らは「これをきっかけに滋賀の観光を盛り上げていきたい」と喜んだ。

甲賀市は、三重県伊賀市とともに忍者発祥の地として知られ、忍者のルーツとされる甲賀武士とゆかりが深い油日神社や山伏が修行する飯道山など、忍者の歴史を物語る多くの歴史遺産が存在する。

また、甲賀市は信楽焼の産地としても有名。瀬戸焼で知られる愛知県瀬戸市や備前焼の岡山県備前市などとともに、中世から続く焼き物の産地「日本六古窯」の一つとなっている。

認定を受け、甲賀市の岩永裕貴市長が三日月大造知事、三重県伊賀市の岡本栄市長らとともに忍者姿で記者会見。岩永市長は「それぞれの地で歴史文化を脈々と引き継ぎ、守っていただいた地域のみなさまに感謝したい」。一方、三日月知事は「滋賀県から2件新たに認定され、大変喜ばしい。滋賀の観光が盛り上がっていくよう、取り組みを進めていきたい」と抱負を語った。

甲賀市などは今後、忍者の地をPRする多言語対応のホームページ開設や、忍者ゆかりの地をめぐるトレイルランニングなどの観光イベントを開催予定。さらに日本六古窯については、産地をつなぐ共通パンフレットを作成するほか、シンポジウムを開催して6つの産地の連携効果を図るという。

一方、すでに「日本遺産」に認定されていた「琵琶湖とその水辺景観-祈りと暮らしの水遺産」に、大津市の浮御堂(うきみどう)と建部大社、東近江市の「永源寺と奥永源寺の山村景観」、米原市の「朝日豊年太鼓踊(ほうねんたいこおどり)および伊吹山麓の太鼓踊と奉納神社」が新たに構成文化財として追加された。

“日本最古の国道”竹内街道は大阪府初の認定

201705011213_1-300x0.jpg日本遺産に認定された竹内街道を散策する人(太子町提供)

大阪府内初の日本遺産として、28日、文化庁から認定された「1400年に渡る悠久の歴史を伝える『最古の国道』~竹内(たけのうち)街道・横大路(大道)~」。府と奈良県に加え、大阪市、堺市、松原市、羽曳野市、太子町、奈良県葛城市、大和高田市、橿原市、桜井市、明日香村の10市町村でつくる実行委員会が申請した。

竹内街道は日本最古の国道とされ、ストーリーでは、古代から近世を通して、歴史の移り変わりを感じさせる街道とした。代表自治体の大阪府によると、認定を受け、実行委員会ホームページの多言語化や案内看板の設置を進めるという。

松井一郎知事は、「非常に喜んでいる。日本遺産になれば、さらに多くの人が訪れる」と話した。また、大阪市の吉村洋文市長も「歴史の移り変わりを感じられる竹内街道の魅力が評価され、大変光栄」、太子町の浅野克己町長も「これを機に、まちに対する誇りと愛着がさらに深まることを期待する」とそれぞれコメントした。

一方、河内長野市や神戸市を含む大阪、兵庫の6市町村が認定を目指した楠木正成と嫡男の正行(まさつら)を扱ったテーマは選に漏れた。関係者の間では落胆の声も上がったが、同時に再起への期待も聞こえた。

河内長野市の島田智明市長は「非常に残念。今後については活動を通じて縁のできた各自治体と話し合いながら決めたい」と語った。そのうえで、「生き方を通じて『公』を貫いた正成、正行親子ゆかりの地を訪ねることは人間としても成長できる機会を届けられる」と強調した。

また、湊川神社(神戸市中央区)の垣田宗彦宮司も残念としながらも、「楠公さんが日本人の『心のよりどころ』といえる重要な人物であることを、多くの人に伝えられるよう努力したい」と語った。

丹後ちりめん回廊300年の伝統評価 府北部2市2町歓喜

文化庁が日本遺産に認定した「300年を紡ぐ絹が織り成す丹後ちりめん回廊」。ちりめんを織る技法が京都・西陣から丹後に伝わって約300年の歴史と伝統が評価された。日本遺産を構成する文化財が点在する京都府北部2市2町では喜びの輪が広がった。

丹後ちりめん回廊は京丹後市、宮津市、与謝野町、伊根町の2市2町の有形、無形の文化財48点で構成。京都府内の日本遺産は3件目で「絹織物の生地の約6割を生産する国内最大の産地で、織物の営みが育んだ町並みや、宮津節で歌い継がれた天橋立などの象徴的な風景を巡れば、約300年にわたる織物の歴史と文化を体感できる」として認定された。

28日夕、丹後織物工業組合(京丹後市大宮町)で認定を祝うセレモニーが開催。関係者約100人が出席し、くす玉を割るなどして認定を祝った。

認定を受け、山田啓二知事は「丹後ちりめんに関する歴史・文化が評価され、大変ありがたい。織物産業の振興を進めるとともに、『海の京都』の取り組みも強力に推進したい」などとコメントした。

一方、構成文化財である与謝野町加悦の「ちりめん街道」。江戸時代~昭和初期に丹後ちりめんの反物を運ぶ商人らの宿場町として栄え、平成17年には重要伝統的建造物群保存地区に指定された。

アンティークの着物販売などを通じて「ちりめん街道」のにぎわいづくりに尽力してきた団体「この丹後のかたすみで(旧ちりめん街道女子会)」。代表の三田智子さんは「認定は私たちの活動に追い風になり、大変ありがたい。ちりめん街道にさらに多くの人に来てもらえるよう新たな方策を模索したい」と話した。

ちりめん街道の観光名所・旧尾藤家では、ゴールデンウイークの5月3~5日、住民らが着物姿で観光客を迎え、日本遺産認定をアピールする。

行田の足袋「地域活性化につなげたい」

文化庁が新たに認定した「日本遺産」に、埼玉県行田市が申請した「和装文化の足元を支え続ける足袋蔵のまち行田」が県内で初めて選ばれた。行田市郷土博物館では28日夜、記念セレモニーが開催され、関係者がくす玉を割って認定を祝った。

「行田は足袋のまち、さらには日本遺産のまちとして注目される。好機を最大限に生かして地域活性化につなげたい」

市民が喜びに沸いたセレモニーで、工藤正司市長は笑顔でこうあいさつした。

行田市が申請したのは、東日本最大規模の古墳群「埼玉(さきたま)古墳群」や、製造方法が手縫いから機械化へと変遷する様子を示す「行田の足袋製造用具及び製品」など39件で構成される。

行田の足袋の始まりは約300年前。武士の妻たちの内職として足袋が作られ、明治後期から大正期にかけて発展。昭和13年の生産量は約8400万足で、全国の約8割を占めていたという。

市によると、県内では行田市のみが足袋の生産を担い、平成26年の県内の出荷額は年間約5億4900万円で全国最多。足袋を保管するための足袋蔵は市内に約80棟現存し、趣ある景観づくりに寄与している。

また、作家の池井戸潤氏が老舗足袋メーカーを描いた小説「陸王」の執筆時に、行田市佐間の「きねや足袋」を取材したというエピソードもある。

日本遺産認定を受け、市は今後、行田商工会議所などと協議会を設立し、シンポジウムなどを行う予定。

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