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大阪・新世界近くに「星野リゾート」の高級ホテル…西成は変わるか 訪日客呼び込む起爆剤へ期待

2017/04/26

大阪市中心部の駅前の一等地にもかかわらず、30年以上塩漬けになっているJR・南海新今宮駅前の広大な市有地(浪速区)が、民間の資金でようやく活用される。大阪らしい庶民的な雰囲気が色濃く残る一角を、高級旅館などを手がける星野リゾート(本社・長野県軽井沢町)が買い取り、平成34年春に温泉施設を併設する600室規模のリゾートホテルが誕生するのだ。急増する外国人観光客を呼び込む起爆剤となるか。(杉侑里香)

ホテル限定の公募

201704261312_1.jpg新今宮駅前に建設が予定されているホテルのイメージ図(星野リゾート提供)

活用が決まったのは、新今宮駅北側に隣接する約1万4000平方メートルの遊休地。

新今宮は大阪のシンボルタワー「通天閣」のある新世界や、日本一高い商業ビル「あべのハルカス」を中心とした天王寺・阿倍野地区に近く、関西空港にもJRと南海が直結するなど観光拠点として好立地だ。

ただ、隣接する西成区の日雇い労働者の街「あいりん地区」などのイメージも強い上、新今宮周辺の宿泊施設は客室面積が比較的狭く宿泊目的に特化した簡易宿泊所やビジネスホテルがほとんど。好立地のポテンシャルを生かし切れていなかった。

「寝るだけでなく、快適で過ごしやすい宿泊施設が求められる」と判断した大阪市は、市有地の売却では初めてホテル限定のプロポーザル(提案型入札)方式の公募を実施。リゾートホテルを想定して「平均面積が30平方メートル以上の客室を400室以上」などの条件も付けた。

その結果、今年3月、600室規模で大浴場、ハルカスを望めるレストランやバーなどを整備する20階建ての滞在型ホテルの建設計画を提案した星野リゾートと合意に至った。

塩漬け30年超

201704261312_2.jpgこの遊休地にはかつて金属加工工場などがあった。市は昭和30~40年代の児童急増に伴い、浪速区内の公園予定地中学校を建設したため、公園を整備する代替地として50年代にこの土地を買い上げた。

その後、土地の用途が公園以外にも広がったが、具体的な利用計画は定まらず、駐車場や大阪府警浪速署の仮庁舎、新今宮駅改装に伴う資材置き場などとしての暫定利用が続いた。駅前にもかかわらず、ぽっかりと広がるこの土地に、地元からは「地域の活性化につながる本格的な活用を」と望む声が上がった。

折しも暫定利用が終わった平成23年以降、大阪府内を訪れる外国人観光客が急増。24年の203万人から28年には941万人まで増え、宿泊施設の稼働率は28年まで3年連続で全国トップに。

宿泊需要への対応が急務になり、大阪市がこの土地に着目し、ホテル限定の公募に踏み切った。

新たな地域の顔に

201704261312_3.jpg大規模な滞在型ホテルの建設が予定されている新今宮駅前の市有地=大阪市浪速区

ホテルの開業予定は5年後。これまで地域になかったコンセプトの宿泊施設が誕生することで、新世界周辺の活性化や景観の向上につながる可能性がある。

ある大阪市議は「外国人は『新今宮だから』というのは全く気にしない。好立地のポテンシャルが発揮されるだろう」とみる。

星野リゾートは、駅前広場となるような広い緑地スペースを敷地内に設け、季節に合わせたイルミネーションなどのイベントを開催することを検討している。さらに、長期滞在する観光客が周辺を散策したり、飲食店を利用したりすることで、一帯のイメージアップも期待される。

吉村洋文市長は「新今宮はある意味、大阪の個性が出ているエリア。(あいりん地区がある)西成が変われば大阪が変わる。活性化された街になる」と話している。

新今宮地区観光まちづくり推進協議会会長を務める阪南大の松村嘉久教授(国際観光学)の話 「よくぞ星野リゾートが手を挙げてくれた。既存の宿泊施設とは競合しない客層で、飲食店の集積する新世界は歓迎するはずだ。ただ、野宿や生活保護受給者も多い地域で、過度の地価上昇やおしゃれな空間創出が進むと、社会的弱者が住みづらくなることを心配する。星野リゾートが官民でつくる検討会議などに参加し、地域の課題解決に可能な限り協働する姿勢を見せてもらえたら最善だ」

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