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日本にも「クルーズ」時代が到来? 旅行大手がツアー拡充、海外勢も次々上陸

2017/04/25

「第2のクルーズ元年」が到来するのは、間近かもしれない。阪急交通社(本社・大阪市北区)は米大手クルーズ会社2社と提携し、来年4~5月の大型連休に2隻同時のチャーター運航を初めて行う。JTB(本社・東京都品川区)や日本旅行(本社・東京都中央区)などもツアー商品の拡充に注力。航空便やホテルの予約サイトとの間で顧客争奪戦が激しさを増す中、「上質な船旅」の提供は、旅行大手が強みを発揮できる重要な分野となりつつある。各社とも旅慣れた熟年層はもちろん、クルーズ初体験のファミリー需要も開拓しようと売り込みに懸命だ。

豪華船旅、意外に安い?

201704251410_1-300x0.jpgMSCクルーズが運行する「MSCスプレンディダ」の船内施設

「両親と小学生2人の家族なら、ゴールデンウイーク(4月28~5月6日)の8泊9日旅行が一人当たりたったの5万円」とPRするのは、阪急交通社東日本営業本部の平藤実クルーズセンター課長。最安料金は2人で約20万円だが、大人1人につき13歳未満の子供1人が無料となる。

寄港地での観光は自腹だが、船内での食事や各種ショーといったエンターテインメントなどは、基本的に無料で利用できる。そのため「クルーズ船の豪華なイメージとは裏腹に、意外なほどリーズナブルにあげることも可能」(平藤氏)というわけだ。

ツアーは米MSCクルーズ、米ノルウェージャン・クルーズラインの大型クルーズ船をチャーターして催行。日本全国から集客するため、交通の便が良い横浜港を発着する。青森の弘前さくらまつりや博多どんたくを見物しながら、韓国・釜山にも寄港するクルーズと、高知や那覇、石垣、台湾を巡る南国クルーズで、計7200人を募る。

同業他社も、クルーズ需要の掘り起こしに余念がない。

JTBは商船三井客船(本社・東京都港区)と組み、九州7県を「にっぽん丸」で巡るツアーを今年10月に始めるほか、世界自然遺産に登録された小笠原諸島へのチャータークルーズなども売り出している。
 

定員約500人の小型船に特化したラグジュアリークルーズ「極みの旅」を展開する日本旅行は、今年度に4コース拡充。ギリシャ・コリントス運河の通航など「海外旅行の経験が多い熟年層にも興味を持ってもらえる特徴的なクルーズ」(広報)を提供していく方針だ。

成長に期待、虎視眈々の海外勢

中国発ツアーを中心に、日本へのクルーズ船寄港回数は近年うなぎ上りに増えている。国土交通省によると、2016年は前年比約4割増の2018回と過去最多を記録。クルーズ船による訪日客数も15年に初めて100万人の大台を突破するやいなや、16年には199万人にまで達した。

その一方で、日本のクルーズ人口は年間二十数万人(12~15年)にとどまり、伸び悩みの状態が続く。だがそれは、裏を返せば「潜在需要が大きい魅力的な市場」(MSCクルーズ日本法人のオリビエロ・モレリ社長)とも映る。

13年に日本進出した米プリンセス・クルーズは、来年度から冬季のコースを設定し、日本発着のクルーズを全シーズンに広げる。豪華客船「クイーン・エリザベス」の日本発着ツアーを今年3月に初めて実施した英キュナード・ラインは、19年まで毎年催行することを決めている。

ノルウェージャン・クルーズラインの担当者は「一昨年に東京事務所を開いたが、阪急交通社との提携によって日本での存在感をさらに高めたい」と期待を込める。

日本発着、その次に狙うのは

阪急交通社は、2016年度に1万9000人だったクルーズ客数を、18年度には3万人へと伸ばす計画。その原動力として、19年度以降も両社の船をチャーターする方向で調整している。

船のチャーターには、売れ残りのリスクがつきまとうが、強力なライバルとなった旅行予約サイトに対抗する上で有力なコンテンツとなる。

さらには「参加しやすい日本発着のチャーターを増やすことで、クルーズ旅行の裾野を広げ、(海外渡航して乗船する)フライ&クルーズ商品の販売拡大へとつなげていきたい」(松田誠司社長)考えだ。

日本のクルーズ船のはしりとされる商船三井の「ふじ丸」が就航し、「クルーズ元年」と呼ばれたのは1989年。業界各社は「クルーズ人口100万人」を目指したが、その後は伸び悩んできたのが実情だ。

しかし活動的なシニア層の増加で、潜在需要が高まっているのは間違いない。海外勢の相次ぐ進出や旅行大手各社の注力により、クルーズ旅行文化が日本に根付く日は案外近いかもしれない。(経済本部 山沢義徳)

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