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万博誘致識者に聞く(中)松尾隆之・元通産省国際博覧会推進室長 「異能の人材 抜擢を」

2017/04/26

――2025年大阪万博計画のテーマ「いのち輝く未来社会のデザイン」をどう見るか

「まずはテーマと理念を突き詰めて考えることが大事だ。『いのち輝く』と『未来社会のデザイン』を具体的に発信していく必要がある。2005年の愛知万博では『自然の叡(えい)智(ち)』をテーマに掲げ、人類共通の課題を解決する万博に世界で初めて取り組んだが、理念と現実のギャップで悩んだ。広告代理店がプロデュースするような単なるイベントに終わらせず、世界の共感を集めた地球市民参加型の万博にすべきだ。多様な価値観を持つ世界中の人々が一緒に未来を考える場所は、万博しかない。五輪や見本市にはできない」

金額だけで各国は動かない

201704251319_1-300x0.jpg松尾隆之・元通商産業省万博準備室長(前川純一郎撮影)

――これからフランスとの誘致合戦が本格化する

 「誘致とひと口に言っても、甘いものではない。テーマや理念に沿った形で、日本の技術や文化を世界の課題解決にどう生かすことができるか、それぞれの国の立場に立って提案していく。経済協力の金額を提示するだけでは、各国は動かない。フランスとの競争による危機感が変革や創造につながり、いい万博が生まれる」

――愛知万博誘致時の取り組みは

「フランスとは文化交流や投資などについて話し合い、支持を取り付けた。(万博開催を牽引した)トヨタ自動車はフランスに工場を建設し、自動車に対して保護主義を貫いていたフランスに大きな変化をもたらした。誘致段階で愛知はライバルのカナダに99%負けるといわれたが、このようにしてカナダ支持票を一つずつはがしていった。誘致は各国との関係を育むよい機会になる」

ビジネスを起こすチャンス

――日本がこれからの誘致活動でできることは

「アフリカ、中南米、中東は大票田だ。これらの地域が持続可能な形で発展するために、日本の大企業や中小企業の力は大きな貢献ができる。万博誘致を『ビジネスを起こすチャンス』だと捉えるのはどうだろうか。各企業に国を割り当てて、それぞれがどんな貢献ができるか考えてもらったら、いいアイデアが出るかもしれない。開発途上の国々では、アイデアと小さな融資で十分にビジネスができる」

――旗振り役も大事だ

「愛知万博のときは、日本国際博覧会協会長として豊田章一郎・トヨタ自動車名誉会長が情熱とリーダーシップを傾けてくれた。万博に対してとことん熱くなってくれる人物が、1人ではなく複数人求められる。かつての大阪万博が芸術家の故・岡本太郎氏を起用したように、未来を牽引(けんいん)し、世界から英知を集められる異能の人材の抜擢(ばってき)がポイントになる」

(聞き手 栗井裕美子)

まつお・たかゆき 昭和31年、兵庫県生まれ。東大経卒。54年、通商産業省(現経済産業省)入省。通商政策局西欧アフリカ中東課長、国際博覧会推進室長、経済協力開発機構(OECD)科学技術産業局長などを歴任。2005年開催の愛知万博には計画案策定や誘致活動に携わり、開催が決定し

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