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長距離便を呼び込め、関空が着陸料で奥の手

2017/04/18

関西国際空港を運営する関西エアポート(本社・大阪府泉佐野市)が4月から、航行距離3000キロ以上の新規路線は初年度の着陸料を無料にするなど、中長距離便の優遇策を導入している。中でも注目を集めるのが、関空を中継地とする経由便は片道分の着陸料を無料にする乗り継ぎ割引だ。世界でも珍しい制度で、関西エアは「乗り継ぎ便の誘致で長距離路線復活を目指したい」と意気込んでいる。(藤原直樹)

長距離LCC急成長

201704181246_1.jpg6月に就航するエアアジアXの関西国際空港-ハワイ線の記者会見。この路線は着陸料の乗り継ぎ割引が適用される=今年2月、大阪市中央区

乗り継ぎ割引は、就航先の相手国から、さらに別の国に運航できる「以遠権」を利用した路線が対象。

マレーシアの格安航空会社(LCC)エアアジアXが6月28日に就航するクアラルンプール-関空-ハワイ・ホノルル線には、この割引が適用される。同路線は関空-ホノルル間の運賃が1万2900円からと、大手と比べて大幅に安い価格を実現したことから予約は好調という。

LCCは、航行時間4時間以内の中距離までが多かったが、このところ機材の大型化で長距離路線が増加している。中国や韓国など近距離路線の増加で成長してきた関空も、今後は東南アジアなど中距離以上の充実が見込まれている。

関西エアは、LCCが関空で折り返すだけではなく、以遠権を利用して米国や欧州方面まで運航するよう促していく考え。路線誘致を担当する関西エアのグレゴリー・ジャメ専務執行役員は「乗り継ぎ割引は航空会社からの関心が高い。エアアジアX以外にもいくつかの航空会社と交渉を進めている」と自信をみせる。

欧州便の不振続く

関西エアが乗り継ぎ割引を打ち出した背景には、欧州を中心にした長距離便の長引く不振がある。

関空の国際線の平成29年夏季ダイヤ(10月28日まで)は、中国と韓国向けの便が好調でピーク時の就航便数は開港以来最多の週1260便となったが、欧州方面についてはトルコ航空大手ターキッシュエアラインズの撤退などが響き、週33便から26便に減少した。

「このまま欧州路線が減り続けると、もはや国際空港と呼べなくなってしまう」(大手旅行会社幹部)との声が上がるほど危機的な状況だ。

期待されているのが関西エアに出資する仏空港運営大手バンシ・エアポート。世界35空港の運営に参画しており、路線誘致の専門チームも持つ。関西エアの山谷佳之社長は「乗り継ぎ割引はバンシ出身者が中心となって知恵を絞った結果。成功するか分からないが、関空は新しいことを次々にやっていく必要がある」と話す。

乗り継ぎ時間は観光を

関空ではLCCの国内線の路線網も充実してきたことから、関西エアは国際線と国内線のLCC同士の乗り継ぎ需要も見込んでおり、「長距離LCCの拠点空港」という新たな目標を掲げている。

世界の巨大空港は、乗り継ぎ客が退屈しないように映画館や植物園などを設置して魅力を競い合っている。関西エアでは、乗り継ぎ時間を外国人観光客に人気の大阪・ミナミへの観光にあててもらうことを計画している。

山谷社長は「関空からミナミまで片道約40分で、食事や買い物をして戻ってくることも十分に可能。鉄道会社などと連携して対策を検討したい」と強調する。

関西エアは今年11月から関空の着陸料の定価も機体1トン当たり400円引き下げて1900円にする。柔軟な着陸料設定や乗り継ぎ客向けプランを打ち出すことで、長距離便誘致につなげていく考えだ。

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