Logo sec

大阪万博 テーマ決定で誘致に自信も晴れぬ不安 政府と地元の埋まらぬ溝

2017/04/18

2025年国際博覧会(万博)の大阪誘致に向けて、経済産業省がテーマを「いのち輝く未来社会のデザイン」とする報告書案をとりまとめた。関西財界には「フランス・パリとの誘致競争に勝算が出てきた」との明るい空気も広がるが、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)との関連づけや費用負担をめぐっては政府、経済団体は同床異夢。今後の議論で隔たりを埋めなければ誘致も危うい。(牛島要平)

「世界で戦える」

201704181319_1-300x0.jpg大阪への誘致を目指す2025年万博のテーマ案などを議論した経済産業省の有識者検討会=3月13日、大阪市住之江区

3月13日、大阪市内で開かれた有識者検討会。経産省が大阪万博のテーマ「いのち輝く未来社会のデザイン」を示すと、大阪商工会議所の尾崎裕会頭(大阪ガス会長)は「世界で戦える万博になってきたのではないか」と安堵の表情をみせた。

大阪府が昨年11月に国に提示した基本構想案のテーマ「人類の健康・長寿への挑戦」よりも幅が広がり、関西財界には、誘致の鍵を握るアフリカなどの途上国にも訴えやすくなったと歓迎する空気が広がった。

テーマの変更は誘致を有利にするだけでない。万博の展示で仮想現実(VR)や人工知能(AI)などの新技術を活用できれば、企業にとってもビジネス上の利益につながり、投資する利点が生まれる。尾崎会頭は「企業が万博のどこにチャンスを見つけるか、その幅が広くなったのはよかった」と指摘した。

ただ、すでに立候補し、準備で先行しているとされるフランス・パリに対抗するには、テーマだけでなく内容も早急に固めなければならない。ある関西財界首脳は「パリが横綱なら大阪は関脇」と話す。

場所はあるがカネが…

「広くていろいろなことができる。これだけの場所はない」

万博会場の候補地である人工島・夢洲(ゆめしま、大阪市此花区)。検討会に先立って視察した関西経済同友会の鈴木博之代表幹事(丸一鋼管会長)は高く評価した。

夢洲を所有する大阪市が2月上旬にまとめた「夢洲まちづくり構想案」によると、中央部の観光産業ゾーン約170ヘクタールのうち約70ヘクタールにIRを整備し、次いで南側の約60ヘクタールを万博用地として造成する。市街地中心部に十分な用地を確保できなかったフランス・パリよりも優位に立てるポイントだ。

ただ、夢洲での開催はもろ刃の剣。用途の柔軟性が高い半面、整備に巨額の費用がかかる。経産省の見積もりでは万博の会場建設費は約1250億円。うち3分の1(約400億円)は民間負担となる見込みだ。

しかし、かつて関西に本拠を置いた有力企業は東京にシフトしており、関西財界には必要な額を集められるかという不安がのしかかる。

カジノの誘惑

関西経済連合会の森詳介会長(関西電力相談役)は経団連の榊原定征会長に頭を下げ、誘致委員会の会長に就いてもらったが、経済情勢の不透明さから経団連にもかつてのような集金力はない。「100億円も出せないのでは」(関西財界関係者)との見方もある。

関経連が望みをつなぐのは、カジノを備えたIRのためのインフラを万博にも活用する「一体開発」。関西経済同友会の蔭山秀一代表幹事(三井住友銀行副会長)は「IR事業者が払う地代を大阪市の財源にして万博会場を整備しては」と持論を展開している。

ただ、カジノに対しては批判的な見方も強いことから、首相官邸は「IRと万博をセットで議論するな」と各省庁に指示を出したとされる。「IRは大阪の地域振興の問題で、国が誘致する万博とは別」(経産省幹部)という理屈だ。

関経連の森氏は、焦りを隠さない。検討会では資金確保について「非公式でも関係者がアイデアを持ち出して具体化していく場が必要」と訴えた。まとまらなければ、パリで6月に開かれる博覧会国際事務局(BIE)総会で予定するプレゼンテーションは、説得力を欠く内容になってしまうだろう。

あわせて読む

大阪市

もっと見る
「大阪市」の記事をもっと見る

訪日プロモ

もっと見る
「訪日プロモ」の記事をもっと見る

大阪府

もっと見る
「大阪府」の記事をもっと見る

カジノ法案

もっと見る
「カジノ法案」の記事をもっと見る 「万博」の記事をもっと見る 「IR法」の記事をもっと見る 「財界」の記事をもっと見る